[IP]: 掲示板/ブログの著作権は誰の物?
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この page は、掲示板やブログや Wiki で書き込まれた著作権物についての取り扱いについて纏めています。
特徴としては以下の通り。
- 著作者人格権の取り扱いについて
ユーザーの著作物を形を変え提供する場合、著作者人格権で守られている「同一性保持権」の扱いが難しくなります。著作者人格権は、著作財産権と異なり譲渡できない権利とされています。そのため、著作者人格権は譲渡するのではなく、権利を行使しないという契約方式が取られる事が多いようです。
<[IP]: 著作者人格権について>
- 著作権の相乗り、著作者人格権の不行使を明記する必要性ってあるのかな?
何のプロセスも踏まずに、一方的にサービス提供側がユーザーの権利を奪う規約に変更してしまう状況について問題になっています。確かに規約はユーザーに伝えることなく変更すると規約に記載されているのでプロセスとしては誤りは無い状況なのですが、釈然としないユーザーも多いのは事実だと思います。
緩やかな変更・改革が望まれていますし、望みます。
- 「電車男」の2番煎じ?
書籍「電車男」の成功により、利用規約を見直すサービス提供元が増えているようです。
今まで他人の著作物を消費することしかなかったユーザーが、消費される側に回ったときの戸惑いのようなものを感じました。バランスの取れた著作権を考えるのに良い時期なのかもしれません。
ジオシティーズ(Yahoo! JAPAN)の著作権の取り扱い
「著作権の相乗り」、「著作者人格権の不行使」を利用規約に盛り込んだことにより問題になっています。
Yahoo! JAPAN のサービス利用規約の「Yahoo! JAPANに送信(発信)されたコンテンツについて」の以下の記述が問題になっています。
7. Yahoo! JAPANに送信(発信)されたコンテンツについて
Yahoo! JAPANには掲示板など、ユーザーのみなさまが送信(発信)したコンテンツを不特定多数のユーザーがアクセスできるサービスがあります。このような不特定多数のユーザーがアクセスできるサービスに対してユーザーがコンテンツを送信(発信)した場合、ユーザーはYahoo!
JAPANに対して、当該コンテンツを日本の国内外で無償で非独占的に使用する(複製、公開、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案を含む)権利を許諾(サブライセンス権を含む)したものとみなします。また、ユーザーは著作者人格権を行使しないものとします。
なお、この条項は、他のユーザーに対してYahoo! JAPANが当該コンテンツの使用許諾をすることを約束するものではありません。
Q&A には自社のプロモーション以外には使用しない内容が記載されていましたが、Q&A
はあくまで参考情報に過ぎないので問題があったときには何ら効力を示さない可能性が高いです。利用規約のみから判断した方が良いでしょう。特にユーザーのコンテンツの使用目的が利用規約に明記されていない点は、注意する必要があるでしょう。
私は、自社のサービスのためにここまでユーザーの権利を無効化する必要性は無いのではないかと思っています。コンテンツの利用目的を利用規約に明確に記載し、了承を得ることで解決する問題で著作権、著作者人格権まで深く突っ込んだ内容にすべきではないように感じます。
著作権の相乗り
「日本の国内外で無償で非独占的に使用する」という部分が「著作権の相乗り」に当該します。
ユーザーは、著作権で守られている多くの権利を Yahoo! JAPAN に対して無償で非独占的に使用することを許諾することを示します。ユーザーの著作権が
Yahoo! JAPAN 側に帰順するわけではなさそうですが、ユーザーの著作権に対しての責任はユーザー自身で解決しなければならない点が厳しいところかな。
Yahoo! JAPAN 側がコンテンツの2次利用を行ったことにより著作権の問題が生じた場合、その責任の多くはユーザーが負う事になりそう。美味しいところだけ持っていかれて、やられ損な感じを受けました。
著作者人格権の不行使
「ユーザーは著作者人格権を行使しない」が「著作者人格権の不行使」に当該します。著作者人格権に関しては
<[IP]: 著作者人格権について> に纏めています。
各サービスの利用規約
[LivedoorBlog以外にも権利侵害規定!ブログ著作権規約を全チェック(絵文録ことのは)] と同じ真似事をしてみました。
著作権、著作者人格権に触れない利用規約
利用方法を明確にすることで著作権、著作者人格権については触れなくとも宣伝や
RSS 等の2次利用を可能にした利用規約です。利用方法が明確なので利用者はどのような権利を共有しなければならないか一目瞭然です。
- [@homepageでホームページをはじめよう!(@nifty)]
@nifty の利用規約。@nifty の場合、@homepage のコンテンツとしてココログというブログサービス(有償)を提供しています。
@nifty 側の blog 利用として「第11条(ニフティによる利用)」には「ユーザーが作成したホームページに係る著作権は、原則ユーザーに帰属しますが、ニフティは、サービスの広告・宣伝、利用促進の目的に限り、メタデータ(RDF
Site Summary形式など)で配信されたblog上の情報を、ニフティが管理・運営するWebサイトに掲載することが出来るものとします。」とあります。
著作権の相乗りを明記した利用規約
著作権の相乗り、著作者人格権の不行使を明記した利用規約
- [gooブログ利用規約(goo ブログ)]
「第10条(著作権)」に著作権の扱いが記載されています。面白い所は「当該権利許諾は、会員が本サービスを利用する資格を喪失した後においても、有効に存続するものとします。」と、ユーザーが使用を止めたとしても、この契約は引き続き有効であることを主張しています。
- [利用規約(Seesaa ブログ)]
補足説明として [弊社ブログサービスにおける著作権の取り扱いについて] がありました。自社のサービス以外にはユーザーのコンテンツを利用しないと補足説明がありましたが、補足説明は補足説明で利用規約ではないし、自社のサービスをどこまで拡張するかでまた状況が変わる可能性を秘めているように読めました。
2ちゃんねるの著作権
電車男の出版よりその2番煎じについて問題になっています。著作権者(名無しさん?)の許諾を得ずして出版できる理由として運営側は、2ちゃんねるへの投稿時に確認する「著作権の相乗り」と「著作者人格権の不行使」を根拠にしています。
電車男以前より2ちゃんねるのコピペは書籍に出てきているし、ここまで拒絶反応があるとミョーな違和感を感じます。投稿に出てくるのは拒絶反応を持つ住民でそれが大多数意見ではないことは分かっているつもりだけど、、、こういうことになり得る利用規約だと「自分に火の粉が降りかかってから」反応しているのを見ると「自分に優しく他人に無関心」をそのまま体現しているようで、とってもアレ。
- [やじうまWatch の 05.02.09 のネタ] (05.02.09)
やじうまWatch 05.02.09 より「相次ぐ2ちゃんねるスレッドの書籍化に、2ちゃんねらーの反発も」。管理人さんのスタンスは「出版されて本にされるのがいやなら書き込むな」
らしい。2ch.net では、投稿する時点で著作権の譲渡と人格権行使の放棄(人格権自体は放棄できないからその行使させないことによって人格権を実質放棄しているわけね)の了承を求めてきています。よって書籍化は、投稿者の許諾を得る必要が無いとの見解。
少なくともそういう契約で成り立っていることは了承して投稿しないとね。2ch.net
にコメントを「捨てた」時点で既に自分の制御を離れていることを理解しないと。
シュリンクラップ契約にも関わりそうだけど、契約を無効に出来ることはビミョーかな。
道義的な問題については 2ch.net に書き込む時点で十分危険性を認識していなければならないと思う。唯一、勝手に人のサイトから転載(引用ではないよ)されたコメントについては誰かがその責を追う必要があるかもしれない。「誰」が指定できないところが匿名掲示板の特徴なのでそれも難しいのかもしれない。あの契約だと投稿者だな。著作権は投稿者にあるし。
<シュリンクラップ契約関連>
- [http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0408/30/news002.html] (04.08.30)
ITmedia の記事「2ちゃんの「良スレ」が電子書籍化されヒットするまで」。2ちゃんねる系のコンテンツが最近、増えているので著作権やら著作隣接権やらはどうしているのか気にはなったんだけど、どうやら「2ちゃんねるは「書き込んだ瞬間、その内容は2ちゃんねるに帰属する」というサイトポリシー」を盾にしているようです。なるほどね。
<[news] 2ちゃんねる関連>
お勧め
- [http://nikkeibp.jp/netbiz/lawyer/050425_lawyer2/] (05.04.25)
日経 BP の記事「Q.「電車男」に代表されるネットの書き込みの著作権はどう扱われる?」。匿名掲示板での著作権の問題点についてよく纏まっています。記載している方は「ニューヨーク州での弁護士資格」を持っているらしいので信憑性は高いと思います。
匿名(名無しさん)の投稿であっても著作者と認められるとし、匿名掲示板に於いて原著作権者を特定することが困難であることが問題点を挙げています。
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