IA-64 の未来

weekly making now! (00.08.12)

現在 [IA-64 関連] にて最新情報を取り扱っています。

IA-64 とは

IA-64 とは Intel Architecture 64bit の略（らしい）。

それに対し、今までの Pentium III などの CPU は IA-32(Intel Architecture 32bit) と呼ばれています。これは 80386 時代からの技術で CPU が一度に扱える転送単位が 32bit までであることに由来しています。つまり、IA-64 とは CPU が一度に扱える転送単位が 64 bit になることになります。

ただし、IA-64 の進化はそれだけではありません。とっても RISC ライクなアーキテクチャになっています。RISC と CISC の歴史については [[RISC](Insider's Computer Dictionary)] をどうぞ。IA-64 については [[IA-64](Insider's Computer Dictionary)] が詳しいです。

豊富なレジスタ群
- 128個の汎用レジスタ（32個が固定、96個がスタックレジスタ）
- 128個の浮動小数点レジスタ（32個が固定、96個がローテートレジスタ）
- 64個プレディケート・レジスタ（16個が固定、48個がローテートレジスタ）
  実際に実行するかどうかを制御するレジスタ。
- 8個の分岐レジスタ
  call や ret で発生する分岐を効率よく処理するためのレジスタ。
- 128個のアプリケーション・レジスタ
  さまざまな用途に使用できる、らしい。
2³²Byte(16 TB) のメモリ領域
当然 IA-32 では 2¹⁶(4GB)Byte が限界。PentiumPro 以降にメモリ領域を拡張する命令が増えています。これを利用すると倍の 8GB まで使えます。今の所、使用している OS は Windows NT Enterprise 位しか知らない。いやもう一つ、Windows 2000 の Advanced server も対応しているみたい。他の Windows 2000 は 4GB 止まり。
EPIC (Explicitly Parallel Instruction Computing)
明示的並列コンピューティング。プログラマーが明示的に並列処理を指定することによって複数命令の並列処理が可能になる。RISC では動的に並列処理をしていた分、パフォーマンスロストがあるらしい。詳細については [[EPIC](Insider's Computer Dictionary)] をどうぞ。
IA-32 との互換性
IA-32 との互換性を保つための仮想モードを持っています。ただし、リアルモードまではエミュレーションしない模様。詳細については [[IA-32](Insider's Computer Dictionary)] をどうぞ。

上記の情報は、以下の page を参考にしています。

[IA-64チュートリアル(Intel デベロッパ・サイト)]
日本語で IA-64 のチュートリアルが観れます。少々、アセンブラの知識が要りますがとても分かりやすかったです。伊達に金掛けていませんね。公共投資よりはずーーーとましだけど :-P。
[IA-64 - マニュアル(Intel デベロッパ・サイト)]
なんと日本語マニュアルが完備。素晴らしい。ちなみに Netscape では download 出来ません。あしからず。

Itanium(アイタニアム) の受難

つい最近まで、コードネームの Merced（マーセッド）と呼ばれていました。詳細については [[Itanium](Insider's Computer Dictionary)] をどうぞ。ネーミングをつける専門の会社があるとは、、、。私は密かにネーミングに失敗しているような気がします。幾らなんでも Pentium を引っ張りすぎだよ。

IA-64 零号機 Itanium ですが、00/08 現在、離陸の目処が立っていません。今年の第四四半期に予定されていますがこれも遅れるでしょう。

[インテルが『Itanium』の発売を延期(Japan.CNET.com)]
7/19 のニュース。第4四半期以降にずれ込む、とこと。私的には来年の２月に出荷されれば早いほうなのではなかろうかと。
[インテル、Itaniumのロードマップ、技術情報等を公開(MYCOM PC WEB)]
Itanium は800MHｚで出荷し、4MB の L3 キャッシュ、64GB までの SDRAM が搭載される、とのこと。Chipset は 460GX。

私が考えるに Microsoft の Windows 2000 の次期OS、Whistler の完成を待っているような気がします。離陸のための保険は有るだけ有ったほうが安全、というわけです。

[Itaniumの出荷延期，ソフトベンダーには幸い？(ZDNN)]
hardware が先か、software が先かというところでしょうか。
[マイクロソフトの64ビット『Windows 2000』プレビュー版が完成(Japan.CNET.com)]
多分、こいつが完成しなければ Intel は勝負に出ないでしょう。まさか Linux と心中するとも思えませんし、一度レッテルが貼られるとマーケティング的に厳しいのは PentiumPro の時に味わっているはずだし。
[64-Bit Windows Overview(Microsoft)]
Microsoft の Windows での 64-bit porting についての情報。

離陸のための保険？

離陸のための保険として Intel は Linux にお熱らしい。IA-64 Linux Project（旧称「Trillian」プロジェクト）を立ち上げたり、SDK や Emulator も積極的に公開しています。Microsoft 頼みなのは、しょうがないとしても同時にこける事は避けたい考えなのでしょうか。

[Linux on IA-64[tm]]
IA-64 Linux Project の本拠地。
[ハイパフォーマンス市場を変えるIA-64 Linux Project(@IT - アットマーク・アイティ)]
IA-64 Project に参加したNEC へのインタビュー記事。
[IA-64 Linux Simulator developed by HP(Intel(R) IA-64 Home)]
SDK が無償で download 出来るらしい。
[Intel，IA-64用のLinux SDKリリース。AMDはLineoと提携(ZDNN)]

Linux の文化からしてユーザー数が安定度を示すはずなので、未だに企業中心で進んでいる Linux Project というのは、どうなのかな？GNU なライセンスで配布できるものなのでしょうか？SDK より Apache を高速動作させる方が商業的に good だと思うのですが。

追従する AMD

Itanium 君は何時出荷されるのかね～、と思っていたら、どうやら AMD が次の一手を打ってきたようです。それとも Itanium 君の足元をさらうための戦略なのかな？どちらにしろ面白い展開になってきています。AMD の 64bit CPU は 2001年後半になるとのこと。

ということで

今回、調べて感じたことはすでにアセンブラで記述することが無くなったな、と思いました。RISC 系の CPU はコンパイラの最適化技術如何で速度が決まるらしいので、IA-64 もコンパイラ技術の精度が上がればどんどん高速化していくのでしょう。

この IA-64 上に載っている OS は果たして Windows なのでしょうか。非常に今後が楽しみです。

[Intel(R) IA-64 のホームページ]
本拠地の日本語版です。まずはココから。
[Intel　MPUロードマップ(Intelのロードマップとコードネームを大整理)(PC Watch)]
Intel の CPU のロードマップ。ころころ変わる予定にキッチリ追いついています。
[(83)Intelのプロセッサーの最新動向。公開されたItaniumプロセッサーの情報を分析(元麻布春男のソリッド・ステート・サバイバー)]
00.03.22 現在の情報なので少々古いですが参考になります。
[頭脳放談－プロセッサデザイン現場の舞台裏－(@IT - アットマーク・アイティ)]
今回の IA-64 の話とは直接関係はないのですが、CPU 機能（専ら RISC）についての情報は素晴らしい物があります。
[http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/x86/index.html]
日経BP の情報、「X86 の未来」。今回の題名はココからヒントを得ています。

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