投資信託のリスク (投資信託/ポイント)

価格変動リスク

価格変動リスクは、資産自体の価格が一定にならないリスクです。資産は開かれた市場で常に売買が行われています。 資産は適正な資産価値を判断するのが難しく、投資家たちの競り合いの中から適正な価格を付けようとしています。 価値が分からないものに値段をつけるのですから価格が変動するのは当たり前の事です。 また資産自体の価値も常に変化していますのでその影響も受けることになります。
債券の場合、債券不履行が無い限り満期まで持っていれば元本が返ってきますので、ある程度の価値は計算できます。よって価格変動リスクの少ない資産であると言えます。 株の場合、企業の正しい価値なんて分かりませんので、投資家たちの判断によってブレやすくなります。よって価格変動リスクが高い資産であると言えます。
競り合いによる価格変動は資産運用の基盤なので、このリスクは甘んじて受ける必要があります。

為替リスク

為替は、通貨を交換する比率で、日々変動しています。為替リスクは、外貨で運用する外国の資産に影響を及ぼします。 他のリスクと異なり、為替変動によって被るリスクは、リターンに影響を与えません。リスクが見込まれるからと言って、予めリスク分のリターンが織り込まれる ことはないので、リスクの受け損と言っても良いかもしれません。


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投資信託による資産運用は、様々なリスクを伴います。投資する資産によって、投資家が負うリスクの高低が異なる事に注意しましょう。

リスクを理解しないうちに運用を始めると、資産価値が下がったときの対処が遅れたり、早過ぎたり、場合によっては手遅れになったりします。一般的には高いリスクを負う事で高いリターンが得られるとされていますが、投資信託の場合、リスクの割には期待されるリターンが少ない商品が多々あります。気をつけましょう。

運用資産別リスク

債券<株

債券は、株と比べるとリスクは低いです。

債券は、予め決められた利率に基づいて運用を行うので一定の運用益が確保しやすい金融商品です。株は、常に価額が変化しており決められた価額は存在していません。株は、債券と比べ運用益が計算しにくく、価額の変化が激しいためリスクは高いと言えます。

投資信託の場合、債券に対する投資は「公社債投資信託」と「株式投資信託」に分類されています。

公社債投資信託は、短期の公社債のみに投資する運用で MMF, 外貨 MMF がこれに当たります。株式投資信託は、公社債投資信託より自由度の高い運用が可能ですが、その分、リスクは高めです。ちなみに公社債投資信託ではない投資信託の場合、例え株による運用を行っていない場合でも分類は株式投資信託なのだそうです。

株式投資信託は、例えば「グローバル・ソブリン・オープン」のように中長期の外債を組み合わせて投資する運用を行う投資信託がこれに当たります。

公社債投資信託は、短期の公社債のみにしか投資出来ないので、その国の通貨の金融政策に大きく左右されます。例えば、現在('06/09)の日本の短期金利は 0.25% ですが、MMF は、0.2〜0.27% 程度の利回りが期待できます。短期金利が上がれば、次第に MMF の利回りも上昇しますし、短期金利が下がれば MMF の利回りも下落します。

日本国債<外債

日本国債は、外債と比べリスクは低いです。

外債の場合、為替の変動が常に伴うリスクとなります。例えば、外債で運用益が 5% を得たとしても為替が 6% の円高となれば、運用益は相殺されます。日本国債は為替の影響を受けませんので安定した運用益が期待できます。

現時点('07/01)で、日本国債の利回り(10年)は 1.7% 程度ですが、米国債の利回り(10年)は 4.9% 程度ですので、為替リスクを伴っても米国債の方が有利と考える投資家も多いかと思われます。リスクとリターンとの兼ね合いとなるでしょう。

国債<社債

国が発行する債券(国債)は、会社が発行する債券(社債)よりリスクが低いです。

国債は、社債より債券不履行になる可能性が低いため、リスクが低いと考えられています。リスクが低い分、リターンも抑え目になっています。社債の中でもハイ・イールド債は、比較的信用度の低い社債を指します。信用度が低い分、リスクも高く、その分リターンも高く見積もられています。

先進国<新興国(発展途上国)

先進国*1への投資は、新興国*2への投資よりリスクが低いです。

新興国の政治状況はあまり良好ではなく、政治方針が変わる度、為替変動が激しくなることが予想されます。悪の場合、テロによる政権奪回が行われ国による資金凍結もありえない話では無いでしょう。それだけリスクが高い投資だと言うことを踏まえた方が良いでしょう。

通貨の価値は磐石な政治体制により築かれます。新興国の通貨の価値は先進国と比べ低いと言わざるを得ないでしょう。

新興国は、先進国と比べ投資環境が小規模で国の方針によっては外国からの投資を制限している場合が多いです。市場が小規模なので先進国からの資金流入に対し、過剰に反応する場合が多く、暴騰も暴落も先進国の投資家の資金の流入・流出次第で決まってしまうことが多いようです。

暴騰も暴落も運用面では高いリスクであると認識する必要があります。

日本株<外国株(先進国)<新興国株

日本株は、外国株と比べ為替リスクが無い分、リスクは低いです。

BRICs 等の新興国株の場合、為替リスクの他にカントリーリスクの追加されますので更にリスクが高まります。

投資信託別リスク

MMF/MRF (安全度:◎、期待リターン:普通預金より若干マシな程度)

MMF/MRF は、国内の短期公社債を中心に投資を行います。

運用益は日本の金利政策に左右されます。投資信託の中ではリスクが低い投資とされていますが、元本の保証は無く元本割れの可能性は無いわけではありません。過去、債権不履行により MMF の元本割れが発生していますが、滅多に起こるものでは無いと考えてよいでしょう。

MRF は、投資家の現金の一時保管先として利用されています。'06/09 現在、普通預金の利息が年 0.1〜0.2% に対し、MMF/MRF は年 0.2〜0.26% 程度のリターンが期待できます。

外貨 MMF/BST (安全度:○、期待リターン:外貨定期預金より若干マシな程度)

外貨 MMF は、対象通貨の短期公社債を中心に投資を行います。

リスクは為替リスクが主になります。為替以外の影響は受けにくいと考えられるため、比較的、運用益が計算しやすい投資になるのではないでしょうか。

利率の高い通貨は、それなりの理由があります。利率が高いだけで通貨を選択すると後々運用状況が悪化する可能性が高いので注意した方が良いでしょう。

外貨 MMF は、外貨預金と比べると換金性の良さ、スプレッドの低さ、税金の有利さ、利率の高さ等どれをとっても有利です。外貨預金は、銀行にとって「ぼったくり金融商品」の一つであることを理解すべきです。長期の運用を目指すなら外貨 MMF より税制面で有利な BST を検討してみる価値はあるかもしれません。

ソブリン債に対して投資を行う投資信託 (安全度:○、期待リターン:年 3〜5 %程度)

中長期の信用度の高い外債(ソブリン債)に対して投資を行う投資信託を指します。

ソブリン債は、債券不履行になるリスクが少なく中長期的に高い利率をキープした運用を目指しているのでリターンも安定しています。ただし、為替の影響を受けやすいので為替の変動により元本を下回る場合があることに注意する必要があります。

ソブリン債に対して投資する投資信託としてはグロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)が有名です。

日本株に対して投資を行う投資信託 (安全度:△、期待リターン:年 5〜10 %程度)

日本株に対して投資を行います。最近('06/12)の株価の動きを見る限り、安定した株価の推移が行えておらず、ボラリティが高いことより安全度を低く見積もりました。

投資信託の種類は多いのですが、長期運用で指数(TOPIX, 日経平均株価)を上回る運用が行えた投資信託は少ないです。長期運用の場合、指数に連動するインデックス型投資信託の方がアクティブ型投資信託より有利である可能性が高いです。

外国株に対して投資を行う投資信託 (安全度:△、期待リターン:年 5〜10 %程度)

外国株に対して投資を行います。為替リスクの分、安全度を低く見積もりました。

外国株に投資する場合、国を指定する方法よりも先進国全体に対して投資する投資信託がお勧めです。先進国の株は、どの国でも大まかに連動する場合が多いです。国を指定するより為替リスクを分散させる意味でも先進国全体に対して投資する投資信託をお勧めします。

外国株もインデックス型とアクティブ型がありますが、長期運用を考えるなら信託報酬が少なくて済むインデックス型投資信託の方をお勧めします。

J-REIT に対して投資を行う投資信託 (安全度:△、期待リターン:年 5 %程度)

日本の REIT (J-REIT) に対して投資を行います。不動産投資という面から安全度を低く見積もっています。

一般的に REIT は、キャピタルゲインよりもインカムゲインを主に運用益を狙います。現状の J-REIT のインカムゲインは年平均で 4% 程度ですので、キャピタルゲインを上乗せして期待リターンを年 5% 程度としました。

政策金利の利上げによってインカムゲインが主である REIT の魅力が減ると考えられています。不動産投資というリスクからするとインカムゲインが 4% 程度では少ないと考える投資家も多いようです。

現在('06/12)、J-REIT が盛んに買われておりキャピタルゲインも考えられるほどになっています。不動産への投資の見直しもあるかもしれませんが、私は新興のバランス型投資信託が積極的に REIT を組み込んでいる背景も影響しているのではないかと考えています。

REIT に対して投資を行う投資信託 (安全度:×、期待リターン:年 5〜10 %程度)

全世界の REIT に対して投資を行う投資信託です。主な投資先が米国と豪国だけであるのと、米国の不動産環境が年々悪化している状況を考えて安全度を低く見積もりました。

新興国の株や債券に対して投資を行う投資信託 (安全度:×、期待リターン:年 5〜15%程度)

BRICs 等の新興国に対して投資を行います。新興国は政治面で安定しておらず、通貨の安定性が低いことより安全性を低く見積もりました。

新興国に対する投資で、機関投資家のための投資信託を聞いたことがありません。新興国は専ら個人投資家用の金融商品なのかもしれませんね。


*1 日本、米国、欧州等
*2 ブラジル、ロシア、インド、ロシア(BRICs)等の国々

Last-modified: 2007.06.02 (土) 18:07:49 (6172d)