HHD (Hybrid Hard Drive、NV Disk) †
HHD は、HDD 内にフラッシュメモリを組み込む事により HDD の省電力化を目指した規格です。
特徴としては以下の通り。
- 省電力化
HHD は、ディスクを回転させている時間を減らす事で消費電力を抑えます。
従来の HDD でデータを読み書きする場合、モーターでディスク(プラッタ)を回転し続ける必要があり、これが電力を多く消費します。HHD では、データの読み書きを直接ディスクに行う前に HHD 内のフラッシュメモリにキャッシュします。その後、フラッシュメモリ内のキャッシュが溢れそうになると、ようやくディスクを回転しフラッシュメモリからデータの読み書きを行います。フラッシュメモリにキャッシュをさせている間はディスクの回転を止めている時間を延ばすこと出来、結果、省電力化に繋がっています。
- アクセス時間の高速化
HHD は、高速なフラッシュメモリを併用する事でデータの読み書きを高速化しています。
特に従来の HDD でサスペンド・レジュームを行う場合、ディスクが完全に回転するのを待っていなければならず、これが復帰する時間を遅らせていました。ディスクの回転が安定するまでの間は、フラッシュメモリを活用することで復帰時間を高速化することが出来ます。
- HHD 専用に追加された命令「NV cache 制御命令」
HHD は、ATA8-ACS (ATA8-ATA/ATAPI Command-Set) で新たに定義された NV cache 制御命令を用いてフラッシュメモリの制御を行います。制御方法は以下の通り。
- LBAブロックを NV Cache に指定 (Add logical blocks to NV Cache Pinned Set)
- LBAブロックを NV Cache 指定から削除 (Remove logical blocks From NV Cache Pinned Set)
- NV Cache の問い合わせ (Query NV Cache Pinned Set)
- NV Cache Misses の問い合わせ (Query NV Cache Misses)
- NV Cache のフラッシュ (Flush NV Cache)
- NV Cache の省電力設定 (Set NV Cache Power Mode)
- NV Cache の省電力設定の返却 (Return From NV Cache Power Mode)
- フラッシュメモリの寿命
フラッシュメモリであることより当然、書き込み回数に限界があります。
IT Pro の記事によると「60分でフラッシュ・メモリーが一杯になる使用状況を1日10時間,年間250日続けて40年持つ」という試算らしいが一方「10分おきにフラッシュ・メモリーが一杯になる使用状況を1日24時間365日続けると,1.9年で書き換え回数の上限に達する」とのこと。
- フラッシュメモリ 128MB の理由
IT Pro の記事によると「一般的な使用場面における書き込みデータの総量は,1時間当たり100Mバイト未満である場合がほとんどであるためだ」とのこと。経験則的な理由のようです。今後の OS や使用状況によっても上下しそうな値ですね。
- Windows Vista への実装「ReadyDrive」
ReadyDrive は、Windows Vista に実装されている HHD を活用した省電力機能です。
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