投資信託の分配金

分配金(収益分配金)は、決算時に運用している投資信託が支払うおカネのことを指します。

勘違いをされている投資家*1がいるようですが、分配金の出所は運用中の純資産から差し引かれているだけなのに注意してください。言わば分配金は、投資家の資産を定期的に「損切り」をしてくれるサービスであって、預金の「利息」や株の「配当金」や債券の「利金」とは性格が異なることに気をつける必要があります。

投資信託の宣伝文句を見ると分配金に目が行きがちですが、実際の運用実績とは程遠いことが多いです。分配金だけに拘るのではなく、個々の投資手段が持つリスクや運用実績等を加味した上で、自らのライフスタイルにあった運用を心がけたい所です。

特徴としては以下の通り。

分配金の扱いは投資信託によって様々

投資先の性格によって分配金の扱いが異なることが多いようです。例を挙げると以下の通り。

「一般型」と「るいとう型」

配当金の扱い方として「一般型」と「るいとう型」があります。販売会社によっては「るいとう型」が用意されていない場合があります。

「普通分配金」と「特別分配金」

分配金の種類には運用実績に応じて「普通分配金」と「特別分配金」の分配金があります。

運用面では分配金は不要(複利効果の差)

複利効果を最大限利用する場合、出来るだけ分配金を出さないことが望ましいです。

分配金は、支払いの度に運用益から税金が引かれます。再投資を行った場合でも税金が引かれた後なので効率は悪いと言わざるを得ないです。10年程度の長期運用を考えている場合、配当金は極力出さない投資信託を選んだ方が良いかもしれません。

公的年金の補助としての分配金(タコハイの是非)

分配金を老後の生活費の補助代わりに利用するという考えもあるようです。

例えば野村のマイストーリーは、偶数月に公的年金の支払いがあるらしく奇数月に分配金を払うことで生活の補助としての用途を考えているようです。またグロソブも「生活費の補助」という側面を理解していて、例え元本割れを起こしたとしても定期的に支払う分配金を減らす措置は積極的に行わないとしているようです。

ちなみに元本割れでも配当することを俗に「タコハイ*3」というそうです。

少なくとも定期的な分配金を出す商品にニーズがあるのは(自分の投資に相応しいかは別にしても)確かのようです。

関連情報

上記の web は閉鎖してしまったようで閲覧できない状況になっています。良く出来た資料なので以下に「毎月分配について」を引用しておきます。

毎月分配について
   │
   ├─投資効率が落ちるよ(否定・資産最大化派)
   │   ├─毎月税金払うと損するよ(理論武装派)
   │   ├─利確なら自分でやれよ(独立独歩派)
   │   ├─詐欺だよ許せないよ(義憤純情派)
   │   └─銀行員に載せられますた(過ち反省派)
   │
   ├─リスク開示してるならいいよ(中立・自己責任推奨派)
   │
   └─毎月分配も悪くないよ(肯定派)
       ├─お年寄りには向いてるかもよ(安心購入派)
       ├─グロソブの資産は世界一ィィ(売れ筋最強派)
       ├─天井なんて分かんないから毎月利確でいいよ(サービス前向き利用派)
       ├─毎月分配ってチョー気持E(幸福最大化派)
       ├─毎月分配が人のこころにやさしくフィットする(心の問題すりかえ派)
       ├─低い基準価額の時に買った俺は勝ち組(論点勘違い派)
       └─この方が投資効率がいいよ(根本的勉強不足派) 

#ちなみに銀行のネー様は「幸福最大化派」を推奨していました。まさに「朝三暮四」。

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山崎 元の「ホンネの投資教室」


*1 私も運用当初は勘違いをしていました。銀行のネーサンも私が勘違いをしていることを知っていたのに大して注意してくれないのは如何なものかと。注意してくれたっていいじゃないか(泣。
*2 累積投資、累投
*3 タコは食糧事情が悪くなると自らの足を食べることでその場を凌ぐそうです。そのような様から「タコの足配当」→「タコハイ」になったそうな。