*投資信託の質問箱 [#title]

たまに見かける投資信託に関する質問を勝手に答えてみました。

#contents

**Q. 投資信託に興味があるんだけど、始めにやるべきことは? [#h406c123]
''A. まずはイイ本を読みましょう。マネー雑誌の鵜呑みはご法度ですよ。''

投資関連の書籍は、かなり氾濫していますが有用なものは少ないです。特にマネー雑誌の投資信託特集は、販売会社・運用会社の宣伝のために仕組まれていて、投資家の利益を蔑ろにした企画が多いです。

若干の出費をしても投資の基礎を学べる書籍を読んでみることをお勧めします。

-''基礎知識編''~
運用に対する基礎知識がメイン。殆どの金融商品が投資家にとって不利な事が理解できると思います。投資信託に対するモチベーションが下がる可能性が高いのですが、その位、投資家にとって有利な投資信託は少ないのです。
--[[お金をふやす本当の常識:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532193079/mcnhomepsdk02-22/]]~
テレビのコメンテーターとしても有名な山崎 元さんの著書。怪しげな投資に対して警告しています。当時は投資に対してミョーな幻想を抱いていたのですが、この書籍のお蔭で相当慎重になりました。投資に悩み始めた頃に読んだ思い出深い書籍です。文庫本サイズなので価格も抑え目。
--[[貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569649599/mcnhomepsdk02-22/]]~
資産運用とはなんぞや、という基礎の部分の説明がメインです。資産配分の重要性、機を見て売買することの危険性、資産が増える理屈等、長期の資産運用には欠かせない基礎情報が詰まっています。
-''実践編''
--[[内藤忍の資産設計塾:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4426774039/mcnhomepsdk02-22/]]~
幅広い金融商品より、様々な運用方法を提案しています。ただし内藤さんは、マネックス証券の中の人なのでマネックス宣伝本にもなっていることに気をつけてください。マネックス証券は他と比べれば比較的良い金融商品もあるのですが、他社の方が良い金融商品を扱っている場合も多々あります。鵜呑みにしない程度に参考にしましょう。
--[[みんなの投資:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478620725/mcnhomepsdk02-22/]]~
インデックス運用を中心とした実践本。良く纏まっていると思います。


''関連ページ:''

-[[投資信託/関連書籍]]~
上記の書籍のレビューがあります。


**Q. 長期投資とは? [#y269b840]

''A. 「長期投資とは、リスクを減らすのではなく、大きなリターンを得るチャンスを増やすもの」''

上記は、[[「フィデリティの考える、よくある投信バナシのウソ・ホント」:http://www.shinseibank.com/trust_info/necessity/fidelity/mf_01.html]] (新生銀行) にあったフィデリティ投信マネージャのお言葉です。長期運用とリスクへの取組み方が理解できると思います。

スタート地点を誤らないための手法の一つとして、時間をずらして継続的に投資する''積立て投資(ドル・コスト平均法)''というのも検討してみると良いかもしれません。

''関連ページ:''
-[[投資信託/ポイント/長期運用#fidelity]]



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// 長期運用ってどのくらいの期間を指すの?
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**Q. 長期運用ってどのくらいの期間を指すの? [#fbb4f11d]

''A. 10年程度を目処に考えておくと笑われずに済みます =)。''

株や債券等の資産を運用する場合、時間が大きな武器になります。短期的に見ると、資産の価値の上下は激しいですが、長期的に見ると資産の価値は上向きになる可能性が高いです。

債券は、投資家に対して利率を付けて資金提供を受けることが前提になりますので、長期間、約束の利率を受け取る権利が生じます。
途中で債券を売却する場合、元本割れの可能性がありますが、満期まで持つことで元本と利金は保障されます。
株は、資産家に対して資金を増やすことを約束することで資金提供を受けることが前提になりますので、企業が成長する限り、投資家に利益をもたらす事になります。
投資家に利益をもたらさない企業に投資する必要はありません。

投資した資金が有効に活用されるのには時間が掛かります。気長に成果を待つ必要があるのが投資と言えるのではないでしょうか。

#ちなみに銀行のネーさんに運用期間を聞かれたときに「1〜2年程度の''長期運用''を目指します!」って言ったら笑いが取れました。知識も無しに銀行に特攻するもんじゃないね =)。

''関連ページ:''

-[[投資信託/ポイント/長期運用]]

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// Q. 基準価額が高いと割高ってホント?
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**Q. 基準価額が高いと割高ってホント? [#a2b0da88]

''A. うそ。''

日頃、目にする基準価額は 10000口を購入するための価額です。

投資信託が設立した当初の基準価額は「10000口=10,000円」で計算します。基準価額が上がると 10000口を購入するための資金が多く必要になります。逆に言うと、購入後に上がった基準価額分が投資家の利益になります。資産の価値が上がり続ければ、基準価額も上がり続けます。高い基準価額は、投資信託が順調に運用益をたたき出している証拠です。

例えば基準価額が 20000 円の投資信託なら 10000円で購入できる投資信託の口数は 5000口 になります。基準価額が 10000 円なら 10000口 購入できます。口数に差は付きますが、割高であることにはなりません。どちらも同じ騰落率なら 10000->12000円に上がった場合、20000->24000円に同じ割合だけ基準価額が上がるからです。

気にしなければならないのは基準価額ではなく、投資信託の騰落率を気にするべきです。


''基準価額を下げる「分配金」''

投資信託では口数辺りの価額を減らすための作業を行っています((運用会社の言い分だと基準価額が10000円に近くなるほど購入しやすい心理が働くらしいです。))。

その仕組みが「''分配金''」です。

分配金を出すことで、投資信託全体の口数を減らすことなく投資信託全体の資産の価値を減らします。例えば基準価額が「10000口=12000円」の投資信託が 2000円の分配金を出した場合、分配金を出した後の基準価額は「10000口=10000円」になります。更に分配再投資を選択した場合、2000円分の口数が増えます。分配金前と分配金後とでは投資信託の価値は一切変わらないことに注意してください。

基準価額が高い状態が続いていると言うことは、分配金を殆ど出さない運用方針であることの表れです。長期運用を考えるならむしろ望ましい運用方針と言えるでしょう。

''関連ページ:''

-[[投資信託/分配金]]


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// Q. 分配金ってあった方がイイの?無い方がイイの?
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**Q. 分配金ってあった方がイイの?無い方がイイの? [#vdf5bf47]

''A. 無い方が有利です。''

理由は以下の通り。

-''資金が必要な時に売却出来る''~
分配金を受け取ると言うことは、一定期間毎に投資信託を売却しているのと同じです。
資金が必要な時に必要なだけ投資信託を売却した方が、不必要に資産を売却することなく効率的に資産運用ができます。
-''複利効果の減少''~
分配金は、運用中の投資資産の一部を削って分配されます。分配金を受け取ることによって運用中の資産を減らすことになりますので、運用する資産が減ることを意味します。
分配金を受け取ることで運用中の資産が、更に資産を産む仕組みである「複利効果」が得にくくなります。逆に資産が資産を減らす逆の「複利効果」を防止することも出来ます。
長期運用の投資は、多くの場合、プラスに働きます。
-''税金面での有利さ''~
分配金を受け取る場合、分配金に対して一律に税金が掛かります。
仮に分配再投資を選択した場合、分配金が出る度に税金が引かれた上で再度投資します。所謂税金の前払いです。税金を払った分、運用する資産が減ることになるので複利効果が得にくくなります。税金は最後の最後に払った方が運用効率は高いと言えます。
401k にしろ変額年金にしろ、税金の繰越しが利点の一つに挙がります。これは分配金を出さない投資信託の場合でも同じ効果が得られます((利点として広告が打てないのは税務署の指示なのでしょう。私たち、投資家自身がそれを悟る必要があります。))。
税率が上がったとしても上がる前に一度、投資信託を売却し、再度、買い直しした方が運用効率が良いのではないでしょうか((もちろんノーロードに限りますが))。


''関連ページ:''

-[[投資信託/分配金]]


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// Q. 分配金を受け取らないと複利効果は得られないんじゃ、、、
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**Q. 分配金を受け取らないと複利効果は得られないんじゃ、、、 [#c6f8cf91]

''A. いいえ。''

分配金は、株で言う配当金や債券で言う利金のことではないことに注意してください。

分配金を受け取ると運用益に対する税金の先払いを行うことになり、その分、複利効果を失います。確かに分配金の再投資は、口数が増えるので複利効果を得た実感を得られるかもしれません。しかし、実際は運用資産を削っているだけです。運用資産を削って捻出した分配金は、運用益分の税金を差し引かれて再度、運用資産に戻されます。

全体から見ると、運用している資産を税金を支払うために換金し、税金分差し引かれて、資産に戻されているという作業が分配金の再投資で行われています。複利効果を得ているとは言えないでしょ?

投資信託のおカネの流れをざっくり表すと以下の通り。

-''投資信託を購入するということ''~
投資信託を購入すると言うことは、資金を投資信託が管理する資産(株や債券)に変換することを意味します。その投資信託が株を扱っているのなら、購入資金は株に変換されます。交換する単位は''口数''です。例えば基準価額が7000円だった場合、7000円で10000口の口数に変換出来ます。~
変換された資産は「総資産」の一部として計上されます。
-''基準価額の求め方''~
基準価額は日々の資産価値に連動します。基準価額は、その日の資産を全て換金した場合の「総資産」から今まで発行してきた「口数」の商で求めます。~
つまり「基準価額=総資産/口数」です。~
ちなみに信託報酬は、基準価額を計算する際の総資産の中から日々「総資産*信託報酬*1/365」分だけ差し引かれています。資産の価値がまったく変わらない場合、信託報酬分だけ資産の価値が削られています。
-''分配金の求め方''~
分配金の額は、運用会社が自由に設定します。仮に資産の価値が失われている場合でも分配金を出す、出さないは運用会社が決めることになります。よって安定して分配金が支払われているからといって運用が上手く行っているとは限らないことに注意してください。~
分配金は総資産を削って換金します。分配金が出る日は分配金の分だけ総資産が削られていることを意味します。~
つまり「分配金の出た日の基準価額=(総資産−分配金に必要な資産)/口数」となります。~
分配金の出た日の基準価額は分配金の分だけマイナスになっているはずです。
-''分配金を再投資するということ''~
分配金の再投資は、資産を資金に換金した挙句、資金を再度資産に変換することになります。分配金の再投資は、販売手数料が掛からないのが一般的ですのでここではコストが掛かりません。~
しかし、運用益分の分配金には税金が掛かります。~
つまり、資産を資金に換金し''税金を支払った挙句''、のこりの資金を再度資産に変換することになります。つまり運用益に対する''税金の先払い''です。税金を支払わず、運用し続けて最後の最後に税金を支払う方がより複利効果が得られるはずです。


''関連ページ:''

-[[投資信託/分配金]]

**Q. 長期運用ってどのくらいの期間を指すの? [#fbb4f11d]

''A. 10年程度を目処に考えておくと笑われずに済みます =)。''
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// Q. 販売会社はどこで買うとお得?
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**Q. 販売会社はどこで買うとお得? [#xb2e3f94]

株や債券等の資産を運用する場合、時間が大きな武器になります。短期的に見ると、資産の価値の上下は激しいですが、長期的に見ると資産の価値は上向きになる可能性が高いです。
''A. ネット証券会社にお得なのが多い。銀行や対面証券はまず見所は無いね。''

債券は、投資家に対して利率を付けて資金提供を受けることが前提になりますので、長期間、約束の利率を受け取る権利が生じます。
途中で債券を売却する場合、元本割れの可能性がありますが、満期まで持つことで元本と利金は保障されます。
株は、資産家に対して資金を増やすことを約束することで資金提供を受けることが前提になりますので、企業が成長する限り、投資家に利益をもたらす事になります。
投資家に利益をもたらさない企業に投資する必要はありません。
ネット証券(カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券等)は、人件費を削っている分、販売手数料などのコストを抑えてる場合が多い。これは投資信託に限らず、株売買でも同じなんだけどね。客寄せのためか販売手数料を無料(ノーロード)で販売しているものも結構多いのも特徴。その代わり、投資信託の選択について誰もアドバイスはしてくれない。すべて自分で選択することになる。

投資した資金が有効に活用されるのには時間が掛かります。気長に成果を待つ必要があるのが投資と言えるのではないでしょうか。
銀行や対面証券の場合、窓口のオネーさんが丁寧に説明してくれる。その代わり販売手数料はきっちり取るのでコストは高め。でも問題はそれだけでは無いんだ。

#ちなみに銀行のネーさんに運用期間を聞かれたときに「1〜2年程度の''長期運用''を目指します!」って言ったら笑いが取れました。知識も無しに銀行に特攻するもんじゃないね =)。
-''有用な投資信託が揃わない''~
どこの販売会社も数多く投資信託を扱っているんだけど、ホントに有用な投資信託ってホンの一握り。販売会社1社ではすべて揃える事は出来ないと思ってイイ。だけど窓口のオネーさんは、自社で扱っている投資信託のみアナタにアドバイスするんだ。「実は他社のxxxさんのファンドの方が安くてお得なんですよ〜」なんてアドバイス、してくれると思う? 
-''販売会社に優位な品揃え''~
販売会社にとっての利益は、アナタにとっての不利益であることが多いんだ。理由は簡単。アナタから取る手数料が販売会社の儲け、だから。~
銀行や対面証券の場合、かなりえげつないんだ。何故かって銀行や対面証券で相談する人って投資信託のことをよく理解していないから、ボッタクリ投資信託を握らせてもそれに気が付けない。そういうお客さん用にボッタクリ投資信託をたくさん用意しているんだ。窓口のオネーさんはそういう投資信託をアナタに勧めてくるはずだ。「毎月決算型は人気がありますよ〜」とか「今、REITが注目を集めているんですよ〜」とか。最終的に決めるのはお客さんだけど、お客さんに勧める投資信託は全てボッタクリというのが今の窓口販売だと思ってイイ。~
でもこれってお客さんにも問題あるよね。車種の情報がまったく無い状態でディーラーに「私に向いている車くださいな」って言っているようなものだもの。軽自動車で十分事足りる用途であっても、ディーラーからして見れば自社製の車を買わせたい。その車にはGPSやホイールやサウンドシステムを付加させたい。だってそれが会社の儲けに繋がるから。相談するにも、ボッタくられないためには他社の同じような商品位の情報は必要。比較することでボッタくられているかどうか判断できるから。




''関連ページ:''

-[[投資信託/ポイント/長期運用]]
-[[投資信託/販売会社]]~
ヨサゲな販売会社を挙げてみた。
-[[投資信託/コスト/手数料]]
-[[投資信託/コスト/信託報酬]]

-[[投資信託/ポイント/話題になるファンド]]



**Q. BRICsとかVISTAって儲かるの? [#v01752ff]

''A. 予想以上に儲かるかもしれませんが、知らない間に損をするかもしれません。''

BRICsやVISTA等の新興国に対する投資は、大きなリターンが期待できる半面、想定以上のリスクを背負うことになることに気をつけるべき。

+''情報が少ない''~
比較的安全に資産運用をしたいのなら、機関投資家が積極的に売買を行っている市場(日本や米国や欧州等の先進国)の方が、リスクが分かりやすい。先進国は、常に報道しているんで状況が把握しやすい状況にあるけど、新興国の場合、そう簡単に現地の状況は把握できない。 
-''規模が小さい''~
新興国は売買している規模が小さいため、先進国から流入する資金に過剰反応することが多々あるんだ。 逆に、些細なきっかけ(米国の税金の納金近くとか)で、資金が流出し始めるととたんに資産の下落が始まる。上昇が極端なら下落も極端。把握できない状況だと皆、一斉に資金を回収し始め、それが暴落に繋がることになる。先進国でもそういう現象がたまに見られることがあるんだけど、新興国の比ではない。なんたって規模が違うから。 
-''コストが高い''~
新興国に限らず、流行の投資信託っていうのはコスト高であることが多いんだ。投資信託の場合、信託報酬がそれに当たる。儲かっているときはコストよりもリターンが大きいから気にならないけど、こう着状態になった場合、コストばかりが差し引かれる状況に陥るんだ。そうなると増える資産もコストに奪われ、利益が限定されてしまう。長期運用を考えるとあまり良い投資とは言えないんじゃないかな。

投資することに否定はしない。でも多くの資金を新興国につぎ込むのは疑問が多いね。新興国に資金をつぎ込むのなら、投資信託に頼らずに直接、その国の株や債券に投資した方が良いんじゃないでしょうかね。


** Q. 儲かる投資信託を教えて! [#k2bf748e]

''A. 「そんなことが分かれば誰も苦労しませんって (;-;)」と誰もが答えます =)。''

逆に儲かるとは限らない例なら以下の通り。

-''過去の実績が良かった投資信託''~
今後もその好調さが続くとは限りません。特にアクティブ運用の場合、運用方針((ex. 中小株、割安株、ボトムアップ、配当重視など))が決められています。
市場に合致すればベンチマーク以上の運用益を出すことが可能ですが、合致していなかった場合は逆にベンチマークを超えることは困難でしょう。
好成績が長期間に渉って続くことはまず有り得ません。過去の実績だけで未来の運用実績を占うのは危険です。
-''人気の高い投資信託''~
人気が高いからと言って好成績が続くとは限りません。短期間で高い運用益をたたき出す投資信託に人気が集まることがあります。


 

**Q. 利確は何時頃? [#td6c05b0]
''A. お金が必要な頃に必要なだけ利確しましょう。''

時期を見て資金流入するのが難しいのと同様、資産の引き上げのタイミングも難しいです。必要な時期、必要なだけ換金する方法が結果的によい方向に繋がるのではないでしょうか。時期をずらして資金を引き上げる方法もあろうかと思います。 

学資資金や愛車購入など、予め必要な金額を必要な時期にあわせて運用するのであれば、必要な金額に達成次第、安全なMMFや預金に切り替えることが重要です。幾ら調子がよくても資産運用はリスクがあります。

大きく欲張らないのも資産運用には重要なことかと。





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