インデックス型投資信託 (パッシブ運用) †
インデックス型投資信託(インデックスファンド)は、各団体が公開している指標(インデックス)に連動した運用を行う投資信託です。
特徴としては以下の通り。
- 運用状況が分かりやすい
指標通りに運用していることより運用状況が把握しやすいとされています。TOPIX や日経 225 等の株価指数に連動するインデックスファンドの場合、ニュースでも取り上げられているので運用状況が日々のニュースから把握することが出来ます。
- 運用コストが安い
インデックス型ファンドは、インデックス型ファンドに掛かる手数料や信託報酬が低く抑えられているのが一般的です。運用面からすると指標と同じ比率で資金運用を行うので人件費があまり掛からないのと、アクティブ型と比べ資金運用による売買を積極的に行わないため、売買に掛かる費用が抑えられる面があります。
- 分配金が無配当もしくは小額
殆どのインデックス型ファンドでは分配金を出さないか、出したとしても小額で押さえられています。長期運用による複利効果を狙う場合、分配金を出してしまうと配当益に対して税が掛かり複利効果が得られにくくなります。
- 長期的な資産運用方法としてのインデックス型ファンド
一般的に長期的に見た場合、アクティブ型がインデックス型を上回る運用実績を残せるのは 3-5 割程度と言われています。また、過去の運用実績は殆どの場合、今後の運用には関連が無いと言われていますし、インデックス型の信託報酬の差分より多く稼がなければならないハンデもあります*1。
長期的な資産運用を考える場合「分かりやすく」「コストの掛からない」運用方法が良いとされています。インデックスファンドは長期的に見た場合、有用であると言われている所以でもあります。
- ETF という選択肢
ETF もインデックス運用の投資信託の一つです。TOPIX や日経225 等のインデックスを有価証券化し、証券取引所を介して株と同じ取引方法で売買が行われています(なので銀行窓口では販売していません)。様々な特徴があるのですが、特に他の投資信託と比べ信託報酬が安価であることが注目されています。
関連情報 †
- インデックスファンドについて (投資信託@2ちゃんねる)
2ちゃんねるではインデックスファンドに人気が集まっているようです。とはいえインデックスに対する話題というよりはアクティブ型との小競り合いが多いようです。優良なアクティブ型ファンドの絞込み方を示唆してくれれば納得も行くのですが、具体例は出ず、仕舞いにはアクティブとインデックス並行運用という所に落ち着いたり落ち着かなかったりグダグダ。
でもコストに対しての見方は大体一緒っぽい。確実に儲かるファンドは無いけど確実に損をするファンドなら一目瞭然ですからね。
インデックスファンドを中心に資産運用を行いたいのであれば銀座人さんの書籍「みんなの投資」辺りがお勧めかな。
用語 †
インデックス運用の問題点 †
インデックス運用について以下の問題点が指摘されています。
- 銘柄入れ替えの前後で生じる損失 (コバンザメ投資)
銘柄入れ替えのタイミングで投資家が損失を被る可能性が高いことが指摘されています。銘柄入れ替えのタイミングでは、インデックス運用を行っている投資信託がその銘柄の比重通りに運用しなければならないので、銘柄入れ替え前後で確実に個別銘柄の需要が(上がるにしろ下がるにしろ)予約されています。
銘柄入れ替え前に入れ替え直後の需要にに目を付けた投資法(コバンザメ投資)による損失が大きいのではないかとの指摘があります。この問題点は山崎元さんの書籍や blog で紹介されています。日経225は元より TOPIX も浮動株指数を用いた運用により日経225程ではないにしろ、この手の問題は付きまとうとのこと。
この手の解決法として、ある特定時期(例えば TOPIX2006.07 のような)の銘柄の比率を固定とし、浮動株指数を無視したインデックスに従いつつ緩めな運用方法等が面白そうです。インデックス型であってちょっぴりアクティブ型。悪くないですね。
- 浮動株指数の適用による損失 (TOPIX)
発行された株が多く株価の高い株に比率が高くなってしまうことより、水準より割高な株を掴まされることによる損失が指摘されています。
- 割高な銘柄組み入れによる損失 (日経225)
その時期の特徴のある流動性の高い株を取り入れることにより、既に割高になってしまった銘柄を選択している傾向が高いようです。1957年時点の S&P500 のポートフォリオと現時点での S&P500 のポートフォリオとで比較運用してみた所、1957年時点の方が「リターンを上回り、しかもリスクが小さいという分析結果がでている」という研究発表があったとのこと。
インデックス vs ETF †
下記のサイトにインデックス型ファンドと ETF に対してのコストに対して興味深い数字が提示されています。
投資信託 | 信託報酬 | 年間コスト(1年間/5年間) |
ETF(オンライン取引) | 0.189% | 1.723% / 0.496% |
インデックスファンド(ノーロード) | 0.666% | 0.841% / 0.701% |
上記の表は「インデックスファンドの選択方法」から引用しています。
興味深いのは ETF を売買するためのコストを計算に入れて年間コストを比較していて、 1 年間だけの運用であるならばノーロード(手数料無料)の方がETF よりコストが低いという結果が出ている所でしょうか。オンライン取引なら最近は取引手数料が 0 円で済む場合もありますし、もっとコストの掛からないインデックスファンドもありますので一概にこのデータが正しいとは言えないでしょう。それでも妥当な数値を示していると私は見ています。
カブドットコム証券での運用を想定した場合を考えてみました。
TOPIX連動型上場投資信託 (1306)(単位株100株辺り ¥170000-とする)を 500 株(85万円)購入する場合、売買に掛かる手数料は¥2050-(1025-*2)で信託報酬は 0.1155%。一方、トピックスオープンは信託報酬である 0.651% 以外にはコストは掛かりません。
どちらも年間で 5% の運用益(高すぎ?)が見込めるという前提でコストを計算していくと、おおよそ以下の通り。ちなみに運用益を 0% で計算してみたのですが途中で凹んできたので止めました。
複利効果って怖いですね 。
投資信託 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
TOPIX連動型上場投資信託 (1306) | 0.345% | 0.222% | 0.180% |
トピックスオープン | 0.651% | 0.636% | 0.608% |
「完全法」と「サンプル法」 †
インデックスファンドでは「完全法」と「サンプル法」の2通りの運用方法があります。
完全法は指数とまったく同じ構成をで運用することで、TOPIX なら 1500 社を超える株を保持することになります。サンプル法は一定の銘柄の中から特徴的な銘柄を選択し運用します。当然ながら完全法の方が指数から乖離する(トラッキングエラー)が少なくより良い運用法とされていますが、運用面(売買コストや流動性リスク)からサンプル法を用いることが多いようです。
現在運用されているインデックス型ファンドの殆どはサンプル法で運用しているようです。どの程度の銘柄で運用されているかについては目論見書に記載されているので確認してみると面白いかもしれません。
TOPIX vs 日経225 †
有名な日本の株価指数としては、東証が公開している「TOPIX」と日本経済新聞社が公開している「日経225」が挙げられます。日本株のインデックス型投資信託は、上記の2つの株価指数に連動するものが多いようです。
TOPIX は時価総額で計算するため、時価総額の大きな銀行株や鉄鋼株等に影響されやすいとされ、日経225は株価の平均であるため発行数が少なく株価の高い銘柄(値がさ株)に影響されやすいとされています。
一般的に対象となる銘柄が東証第一部の全銘柄に及び組み込まれる銘柄が日経225より多いため、TOPIX の方がより安定した運用が出来るのではないかと考えられています。
特集記事 †
- インデックスファンドのリターンを比べてみた (ファンドの海, 05.07.17)
インデックスファンドの保有銘柄に違いはあるか
インデックスファンドがインデックスどおりとは限らないの?(3)
(2)
(1)
私も「ステート・ストリート 外国株式インデックス」の運用報告書を見ていてベンチマーク(MSCIコクサイ指数)負けしているのが気にはなっていたのですが、他のインデックス型ファンドと比べると騰落率では引けは取っていない模様。
結論として各社ベンチマークにしている「MSCIコクサイ指数」は、各社の見方によって随分差が開いているのではないかと推測しています。ただあれだけ開いたのを見ると心証は宜しくないな。