バランス型投資信託 †
バランス型投資信託は、株・債券・REIT 等の資産に対し、適切な割合で分散投資を行う投資信託です。
特徴としては以下の通り。
- 分散投資による安定的な資産運用
バランス型投資信託は、複数の資産を分散させて運用することにより長期にわたって安定的な運用を目指す投資信託です。
例えば株だけで運用した場合、資産の出来不出来が激しく、場合によっては短期間のマイナス運用も覚悟しなければなりません。債券だけで運用した場合、一定の運用益は期待できますが大きな運用益には繋がりません。場合によっては高い信託報酬で運用益の殆どが奪われてしまう可能性があります。
株と債券には相互関係があります。景気が悪い場合、株の運用が悪くなり債券に人気が集まります。その結果、債券の価値が上昇します。景気が良い場合、株の運用がよくなり、債券から株への資産流入が起こります。その結果、債券の価値が下落します。
株と債券をバランスよく運用することで双方のマイナス運用が相殺することが出来、結果、長期運用による複利効果を得られやすくなることが期待できます。バランス型投資信託では、株で運用している投資信託と債券で運用している投資信託を複数購入することなく、一つの投資信託で賄えます。
「ハンバーグ」を株、「チャーハン」を債券と例えるなら、バランス型投資信託は「お子様ランチ*1」に当たるでしょうか。中には、割高だったり、旨いものばかり並べているが栄養バランスの悪かったり、栄養バランスが良いのに見た目が悪くメニューにも載っていない裏メニュー的なお子様ランチがあるので見分ける眼力が必要になります。
- 資産の自動的なリバランス
バランス型投資信託は、長期運用に欠かせない資産のリバランスを自動的に行います。一定の資産のバランスを保ち続けることで安定した運用益が期待できます。
株と債権を比べた場合、株は資産の上下が激しいとされています。一定期間、運用していると株と債券の比率に変化が生じます。株の調子が良い場合が続いた場合、株の比率が高くなり、逆に株の調子が悪い場合が続いた場合、株の比率が低くなります。バランスが崩れた状態で運用すると、株が調子を戻した場合に株による運用益が減り、逆に株が下落し始めると資産の運用益も格段に下がります。
運用会社は、定期的*2に、株の運用益が大きく出た場合には株から債券に、株の運用損が大きく出た場合には債券から株に、資産のリバランスを行います。
リバランスは長期運用の奥義と言えます。
- 高い手数料と信託報酬
バランス型投資信託は、他の投資信託と比べ手数料と信託報酬が高いです。コストの塊だとして毛嫌いされている感もあります。
長期運用を目指す場合、手数料は運用を続けていくうちに徐々に希釈されていくので大きな問題にはなりませんが、信託報酬は毎年掛かるコストだけに特に気をつける必要があります。
- 「ファンド・オブ・ファンズ」と「ファミリーファンド方式」
バランス型投資信託には、ファンド・オブ・ファンズとファミリーファンド方式という運用方式があります。特に最近人気のファンド・オブ・ファンズは仕組み上、高いコストを強いる場合が多いので注意が必要です。販促資料にはしっかり記載されていない場合があり目論見書から丹念に調べる必要があります。
ファミリーファンド方式による運用であれば信託報酬は 1.2% 程度に抑えられる場合が多いですが、ファンド・オブ・ファンズ方式の場合、2.0% を越えるものも存在します。これは信託報酬の2重取りが引き起こしているコストです。
投資信託の仕組みを知っている方の場合、コスト高を理由にバランス型投資信託を毛嫌いする傾向があるようです。新設されている最近の投資信託は、リスクとコストが高く設定されていることが多く長期運用には向かないものが多いようです。銀行でしつこく販売している投資信託もこの部類に入ります*3。
私は 401k(確定拠出年金)で運用されているバランス型投資信託は長期運用に向いているものが多いと感じています。401k という都合上、長期運用に向いているのは当然と言えば当然かもしれません。
私は 401k でも扱われているバランス型投資信託をお勧めします。
関連情報 †
- 定食とアラカルト <資産設計への道> (マネックス証券, 06.09.29)
「アセットナビゲーション株式60」と独自のアセットアロケーションの組み立ての2通りの運用方法を紹介しています。「アセットナビゲーション株式60」+日本株補助のような形も面白いと思うけどどうかな。