投資信託の分配金 †
分配金(収益分配金)は、定期的に運用している投資信託が支払う配当金です。
特徴としては以下の通り。
- 分配金の扱いは投資信託によって様々
投資先の性格によって分配金の扱いが異なることが多いようです。例を挙げると以下の通り。
- 毎月分配型
外債を絡めた投資信託に多いようです。運用実績に係わらず一定の分配金を出すものが主流です。運用がうまく行っていない場合でも元本を削ってでも分配金を出しているケースがあるので、分配金が出ているから運用がうまく行っていると勘違いしない方が宜しいかと。
配当日は必ず基準価額が下がっているはずですよ。
- 年一回、大量放出型
年に1回、基準価額辺りまで分配金を出すのが特徴でこれも最近の流行。株を中心としたアクティブファンド(特に新興国)に多いようです。安定した利益が望めそうも無い投資信託に多いケースなので、利益確定という面では一概に悪くは無いとは思うのですが如何でしょうかね。
単に運用会社が実績として広告に使いたいだけ、という説も =)。
- 毎年「0円」
分配金は出さずにそのまま運用に回す方針の投資信託です。分配金を出さない方針が最も複利効果が得られるので長期的な運用に最適であるとされています。インデックス型ファンドやバランス型ファンドに多いようです。
長期運用を考えるなら分配金の他にも信託報酬にも気を配る必要があるかもしれません。
- 「一般型」と「るいとう型」
配当金が出た場合の扱いとして「一般型」と「るいとう型」があります。
- 一般型
配当金が出た場合、運用益から税を引いた後、出金します。配当金が毎回「0円」の場合は、るいとう型と大差ないです。定期的に利益確定をするのが面倒な場合や生活費の一部として運用したいのであれば一般型になるのかもしれません。
- るいとう*1型
配当金が出た場合、運用益から税を引いた後、再投資します。この場合、再投資に対しての手数料は掛からないのが一般的です。長期運用の複利効果を狙うならるいとう型にしておいた方が無難です。
- 「普通分配金」と「特別分配金」
投資信託の分配金には運用実績に応じて以下の2通りの分配金があります。
- 普通分配金
普通分配金は、課税対象となる分配金のことです。分配金から運用益が出た場合、運用益から税金が差し引かれて配分されます。'06/05 現在の課税率は 10% ですが、'08/04 以降は 20% 課税される予定になっています。また外国投資信託の場合は、申告を行わないと2重課税になることもあるようですので税の払いすぎに注意が必要かもしれません。
- 特別分配金
特別分配金は、課税対象とならない分配金のことです。運用益ではない分配金の場合、つまり元本から削り取られた分配金に対しては課税対象となりません。
課税対象とならないのは嬉しいのですが、特別分配金が続くとそれは運用益が出ていないということで、つまりマイナス運用と言うわけでそれはそこはかとなく寂しいです。
- 運用面では分配金は不要(複利効果の差)
複利効果を最大限利用する場合、出来るだけ分配金を出さないことが望ましいとされています。分配金は、支払いの度に収入益から税金が差し引かれます。再投資を行った場合でも税金が引かれた後なので効率は悪いと言わざるを得ないです。
10年程度の長期運用を考えている場合、配当金は極力出さない投資信託を選んだ方が良いかもしれません。
- 公的年金の補助としての分配金(タコハイの是非)
分配金を老後の生活費の補助代わりに利用するという考えもあるようです。例えば野村のマイストーリーは、偶数月に公的年金の支払いがあるらしく奇数月に分配金を払うことで生活の補助としての用途を考えているようです。あからさまに爺様達を目当てにしていますな。グロソブもその点を理解していて、例え元本割れしていたとしても定期的に配当金を支払う理由として挙げていました。ちなみに元本割れでも配当することを俗に「タコハイ*2」というそうです。
少なくとも定期的な分配金を出す商品にニーズがあるのは(自分の投資に相応しいかは別にしても)確かのようです。
投資信託の宣伝文句を見ると分配金に目が行きがちですが、実際の運用実績とは程遠いことが多いです。分配金だけに拘るのではなく、個々の投資手段が持つリスクや運用実績等を加味した上で、自らのライフスタイルにあった運用を心がけたい所です。
関連情報 †
- 毎月分配について (投資信託@2ちゃんねる)
2ちゃんねるの大方の見方は毎月分配(というより分配金そのもの)に対して否定的のようです。穿った見方をすればマイナス運用の場合が続いたとしてもマイナスへの複利効果が生じにくいとむりやり前向きに考えてみる。
長期間、損を続けるファンドを長期間持つ意味って、、、ないよなぁ。
特集記事 †
- 第九回 「行動ファイナンス」と毎月分配型ファンド
外債ファンドの毎月分配の問題点として「(1) 複利効果が薄い」、「(2) 手数料、信託報酬が高い」、「(3) 為替リスクについて理解が少ない」ことを挙げています。上記を踏まえて毎月分配が人気である理由について行動ファイナンスが絡んだ商品だとしています。ナカナカ奥深いですね。
記事中の「毎月分配型のファンドはよく売れているのだから、これは、投資家のニーズに応えた良い商品なのだ。顧客こそが正しい」という外資系の信託会社の意見は納得いきませんね。
投資家のニーズではなく販売会社のニーズなのでは?