一太郎のアイコン特許問題

この page は、松下電器産業がジャストシステムを相手取って訴えたアイコン関連のソフトウェア特許について纏めています。

この件の特徴としては以下の通り。

  • Windows アプリケーションで広く使用されている基本機能
    松下電器が取得した特許は、第1アイコンをクリックし、次に第2アイコンをクリックすると第2アイコンのヘルプが表示されるというものです。この機能は、Windows の基本機能として搭載されているもので、今回の一太郎だけの問題ではなく、他の多くの Windows アプリケーションが影響を受けると考えられています。例えば『コントロール パネル』→『システムのプロパティ』の『?』アイコンをクリックし、『OK』ボタンをクリックしてみてください。ToolTip でヘルプが表示されるはずです。これが特許侵害の可能性がある特許です。
    「一太郎ショック」で鳴り響くソフトウェア産業への警鐘 (CNET Japan, 05.02.03)
  • 元々はワープロ時代の特許
    松下アイコン特許は 89.10.31 に出願し、98.07.17 に成立しています。ワープロ全盛期に出願したソフトウェア特許で Windows はまだ 2.0-3.0 辺りが出荷されていたに過ぎません。この頃はまだアイコンに関する実装は行われていなかったのでしょう。
  • 特許の効力
    特許の権利として、特許取得者は特許を独占的に使用する権利を保持し、特許侵害を行った者に対し製品の差し止めを請求できる権利を持っています。今回は、松下電器産業側がジャストシステムの製品である「一太郎」と「花子」に対して製造販売の中止と製品の廃棄を求めています。特許を侵害していることが判明すればこの要求は認められます。
    特許とはそういうものです。

05.10.14、ジャストシステム側の主張が受け入れられ、松下側のアイコン特許が無効である事が確定しました。特徴としては以下の通り。

  • 先行事例が勝因
    アイコン特許が成立する前に開発された事例が決め手となっています。ジャストシステムはアイコン特許に対する先行事例として HP 社の書籍*1を発見、それを証拠として提出し認めらています。
    特許は、既に発明された先行事例がある場合、進歩性が欠けるとして特許とは認められません。先行事例探しは特許の裁判では最も重要視される要綱の一つです。
  • ソフトウェア特許自体は肯定的
    松下のアイコン特許自体は特に否定されていません。Windows の標準機能であるという主張は証拠不十分により認められていません。

関連情報

News

05.10.14、松下側上告せず → ジャストシステム側の勝訴が確定

05.09.30、第2審*2の判決が下る → ジャストシステム側勝訴


05.02.01、第1審*3の判決が下る → 松下電器産業側勝訴

東京地方裁判所は、松下電器産業の特許がジャストシステムに侵害されたことを認め、ジャストシステム側に「一太郎」と「花子」の製造と販売の中止を命じる判決を言い渡しました。

ジャストシステムはこの判決を不服とし、05.02.08 に控訴しています。



*1 乙18文献(ヴィッキー・スピルマン=ユージン・ジェイ・ウォング著「HPニューウェーブ環境ヘルプ・ファシリティ」,1989年〔平成元年〕8月発行)
*2 知的財産高等裁判所
*3 東京地方裁判所

Last-modified: 2005.10.18 (火) 23:11:31 (5024d)