証券優遇税制の廃止に伴う Market News

06.12.14 現在、平成19年度税制改正大綱によると証券優遇税制の1年延長が決まったようです。

この間に税制の抜本的改革とやらを目指すらしい。


愚直に 20% 課税に戻した場合、タダでさえ冷え込んでいる個人投資家の需要が更に冷え込む可能性が高く、駆け込み売却で更に状況が悪化しそう。

国民性から考えても高いリスクを負ってまで日本経済に投資したい投資家は少ないだろう。しかも他の金融商品との運用損益が合算することが出来ない場合が多く「勝てば税金、負ければ補填無し」という税制では、多くの投資家はリスクを取りたがらないだろう。短期金利の上昇も予想されることより「投資から貯蓄へ」の流れに戻りそうな雰囲気すら感じる。

税制が大きな影響を及ぼすのはビールに対する酒税法と発泡酒の躍進でも分かる。日本の食文化ですら大きく変動するだけの影響力はあるのだ。

  • 取り合えず、1年見送ってだね、、、(自民党案)
    時間切れでずるずる 1 年延長説がそろそろ検討開始されています。大方、そんな落としどころが待っていたとは思うのですが 3 年延長の方が投資家に安心感を与える分、経済的に優位ではなかろうかと。
    しかし今回は公明党が廃止に持ち込みたい気満々のようですな。こんな強気、地域振興券以来ですよw。
  • '07年末の含み益は 10% でその後は 20%なら混乱少なくね?(財務省案)
    '07年末までの含み益は 10% 課税で、それ以降は 20% の課税を行えば混乱は少ないのではないか、というのが財務省案のようです。'07年末まで含み損を抱えて '07年以降に含み益を得た場合、やっぱり 20% 課税。しかもこの複雑な課税は特別口座のみ有効、というよく分からない仕組み。
    ヲ役人の考えることは難しいアルね。
    • www.asahi.com/business/reuters/RTR200612060038.html
      asahi.com の記事「証券優遇税制廃止に伴う激変緩和措置、実現に疑問の声も」。
  • 金融所得一体課税とのセットでどうよ (公明党案)
    証券優遇税制の廃止の代わりに金融所得一体課税や損益通算の範囲拡大による支援で賄うべきだと言うのが公明党の意見のようです。ただし、金融資産の正確な把握が必要不可欠(脱税の温床になりやすいと考えられている)ので、米国が採用している納税者番号制度の導入が必要だとしています。納税者番号制度の場合、資産状況が税務署に把握されるのを嫌う投資家が多いらしくあまり検討が進んでいない状況のようです。
    この案では金融所得一体課税の検討が時間切れになってしまい、証券優遇税制の廃止しただけで投資家に有利な状況が生まれないのではないのでしょうか。
  • 減税の6割は5千万円超の富裕層が対象
    財務省の試算によると証券優遇税制の減税効果は 3000 億円でその内、 6 割が年収 5000 万円以上の富裕層なんだそうな。だからなんだ?
    株や債券のようなリスクの高い資産投資は富裕層が余裕資金で行うのが普通であろう。富裕層以外にリスクの高い投資を勧める方がどうかしている。富裕層が高いリスクを冒してまで資産運用してくれているからこそ資本主義が成り立っているんじゃないか。高いリスクを負った挙句、その運用益に対し高い税金が相応しいと考えるならやっぱり貯蓄へ戻っていってしまうのは仕方の無いような気がするよ。
    銀行による間接投資に戻したいのならどうぞ。ただし銀行による間接投資のリスクはバブルで体験済みだ。今後、銀行が日本の経済を背負っていけるほど甲斐性のある組織には見えないのですが、どうなんでしょうかね。
    • www.asahi.com/business/update/1207/112.html
      asahi.com の記事「証券優遇税制、減税の6割は5千万円超の富裕層に?」。
  • 海外投資家への影響
    日本株の 1/4 は海外投資家によって支えられています。証券優遇税制が廃止になった場合、日本政府に対する経済政策への不信感による撤退が懸念されています。また日本と租税条約を結んでいないカナダ、ドイツ、オランダ(ヘッジファンドが拠点を置いている場合が多い)等の国の場合、配当課税の比率が 7% → 15% へ上がることより、配当を目当てにしている株が売られてしまう可能性を示唆しています。興味深い所ですね。

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Last-modified: 2007.01.04 (木) 00:19:00 (6328d)