グローバル・ソブリン・オープン (グロソブ)

グローバル・ソブリン・オープンは、ソブリン債券を中心とした投資信託です。

#ちなみに私はグロソブ、持ってます =)。小額ですがなんか楽しいじゃないですか。

グロソブの特徴

総資産 5 兆円を越える大規模ファンド

「グロソブ(毎月決算型)」の総資産額は '06/05 現在で 5 兆円を越えており、国内最大級のファンドです。総資産の第2位である「ダイワ・グローバル債券ファンド」は '06/05 現在、ようやく 1 兆円*1を越えた程度です。

他の追従を許していません。

規模の大きさゆえに強制的に償還される可能性はかなり低いと考えられますが、規模が大きいゆえに大規模な資産運用が出来ないことが想定されます。運用コストの高い投資信託の割に、運用コストの安いインデックス型投資信託と比べて運用実績が思わしくないケースをよく見かけます。

日本を含む海外のソブリン債券を中心に投資

ソブリン債は、政府や政府機関が発行する債券です。グロソブは格付けの高い国を中心に投資を行い、安定した収益を得ることを目指しています。

外債を扱っている投資信託には珍しいのですがグロソブは日本国債にも投資を行っています*2。'06/11現在の 10 年物日本国債は約 1.7% 程度ですので殆どが信託報酬に持っていかれてしまう計算になります。

よく出来た目論見書

流石 5 兆円ファンド、と思わせるほど分かりやすく出来ていると思います。読み物としてもかなり面白いので興味が無くても取り敢えず銀行の窓口で「グロソブの目論見書(もくろみしょ)ください」と言って目論見書を貰ってきましょう*3

国際投信投資顧問の「商品のご案内」に PDF として目論見書が置いてありますのでこれを利用しても良いでしょう。他にも「商品紹介ビデオ」や「Q&A」も用意されています。合わせてどうぞ。

グロソブの問題点

皆に愛されているグロソブですが以下の問題点が指摘されています。

高い「信託報酬」

グロソブの信託報酬は年 1.3167 %程度です。このコストは、どの販売会社から購入しても同じ信託報酬が差し引かれます。他のソブリン債を扱っている投資信託の信託報酬は、大体 0.5〜1.0% 程度が相場です。

普通預金で 0.8% の差があったら気になりませんか?

日々徴収される信託報酬は、販売会社・運用会社・受託会社(資産の保全を行う専用会社)が運用費として受け取ります。グロソブは、販売会社の販売実績に応じて信託報酬の割り当てを多くする特徴を持っています。販売会社が売れば売るほど信託報酬を多く受け取れます。その代わりに運用会社の信託報酬を削ってトータル 1.3167% の信託報酬になるよう調整しています。目論見書によると販売会社に対し、最大*4で年に 0.99750% 支払われることになっています。

購入後は、運用に携わることの無い販売会社が運用中の信託報酬を多く貰うことに疑問を感じます。私はこの仕組みこそがグロソブの総資産を 5 兆円まで引き上げた仕組みではないかと考えています。

販売員は、投資家の利益のことだけを考えてグロソブを勧めている訳ではないのです。外債を扱っている投資信託がグロソブしか選択肢が無い販売会社は特に気をつけたほうが良いでしょう。

投資効率の悪い「毎月分配型」

グロソブの特徴であり人気でもある毎月分配型ですが、分配金を支払わないか支払ったとしても少数しか支払われない投資信託と比べると投資効率が悪いとされています。

分配金は、利息や利子と同じ扱いのように感じられるかもしれませんが、実際には我々投資家から集めた総資産から分配金分を「削って」配当しています。分配金が支払われる毎月 17 日の基準価額を見ていただけると分かるのですが、分配金('06/12現在 40 円配当)の分だけ基準価額がマイナスになっているはずです。運用状況が悪い月の場合、分配金以上に標準価額が下がる場合もあります。自分の資産を削ってまで分配する様を「タコ配」と言われています。

分配金で運用益が出た場合(普通分配金)、分配金から税金が徴収されます。仮にこの分配金を再投資に当てたとすると、運用中は税金を毎月、先払いすることになります。税金を先に支払ってしまうと税金分だけ運用に回せなくなり、運用効率が落ちます。利益に対する税金は最後の最後まで払わない方が投資効率が良いのです。

高い「手数料」

銀行で扱うグロソブの手数料は大体 1.575% が基本のようです。手数料は販売会社が決めることが出来るので、販売会社によっては手数料が無料(ノーロード)で販売されている場合があります。例えばカブドットコム証券やコスモ証券の場合、ノーロードで販売していますし、販売会社の投信キャンペーン等でよく手数料が無料になっています。

手数料で投資信託の運用率が上がるわけではないので、極力手数料が少ない所を選択することをお勧めします。投資信託の積み立てを希望しているのならばなおさらです。

無視できない「為替リスク」

グロソブは、泣きたいくらい為替に弱いです。為替が円高に傾くと一日で基準価額が -100 円マイナスになることもありました。2.5ヵ月分の配当金に相当しそうですね =)。何故か1円安になっても爆上げすることはなく、緩々と上がってはまた急な円高で資産を削るということを繰り返しているような。

主要通貨の為替*5が 1 円円高になると「48.3円マイナス」になる見通しだと国際投信が公表しています。

販売会社の販売員によっては、過度に株の価格変動リスクを強調し、大幅な価格変動の少ない外債や REIT やファンド・オブ・ファンズ等の投資信託を勧めることが多いようです。その割に為替変動リスクについて触れることがあまり無いようですが、外国の資産を扱う投資信託の為替リスクは相当高いと私は考えます。


ちなみに信託財産留保額も 0.5% と他と比べると高めに設定されています。

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*1 1兆円ってのもスゲぇけど
*2 '06/11現在、全体の 7% 程度
*3 そのまま銀行で購入することはお勧めしませんが、、、
*4 8000億を越えるの純資産額に対して
*5 米ドル、ユーロ、カナダドル