投資信託の信託報酬


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信託報酬は、投資信託の販売会社・運用会社・受託会社に支払われる報酬(コスト)です。

特徴としては以下の通り。

  • 毎日支払われる隠れたコスト
    信託報酬は、純資産総額の中から毎日、差し引かれています。差し引いた状況で毎日の基準価額が決まっています。別途、纏まった金額を払うわけではなく資産の中から削られていくのでコスト意識が低くなりがちです。
  • 信託報酬の比率は投資信託によってマチマチ
    信託報酬は運用方針などで大きく差があります。
    インデックス型投資信託の場合、処理は機械的に行われることより信託報酬は 0.5〜0.7% 程度が一般的です。アクティブ型投資信託の場合、信託報酬は 1.0〜2.0% 程度が一般的です。インデックス型と比べると信託報酬は高めに設定されています。
  • 長期運用と複利効果
    信託報酬の差は 2〜3 年程度の運用の場合は大きな差が出ません。この場合はむしろ手数料に気をつけたほうが良いでしょう。10〜20 年程度の長期運用を考えた場合、複利効果により大きなパフォーマンスの差が付きます。

関連情報

特集記事

  • 投資信託の信託報酬をシンプルに考える。 (Aから始める:企業価値に基づく投資, 07.02.10)
    運用益から見た信託報酬について。全体の年 1% と言われても大した影響が無いように見えますが運用益から逆算すると、売り手の有利な金融商品だと気が付かせてくれます。
    記事では信託報酬が 1% で期待リターンが 7% だった場合、運用益に対し 14.3% が売り手側の取り分となり、信託報酬が 2% の場合、運用益に対し 28.6% が売り手側の取り分になると解説しています。
    こうしてみるとグロソブは期待リターンが少ない割に、コストが高いことに気が付きます。知っている人はまず手を出さない金融商品と言われてしまうのは仕方の無いところでしょう。

山崎 元の「ホンネの投資教室」

  • 第五回 投信の信託報酬の過去と現在を考える
    信託報酬の高騰は運用会社の過当競争であると指摘しています。末端の投資家を見据えた競争であるならば状況が良くなったのかも知れません。運用会社は、販売会社(銀行や証券会社)に気に入られる商品開発に力を入れてしまったため、出来るだけ高い手数料と信託報酬である投資信託を好んで採用した、としています。
    翻ってみれば総資産が巨大な投資信託の特徴として、高い信託報酬でかつその取り分が販売会社というケースが多いように感じます。
    現状が本来あるべきの投資先であるのか不安に感じることはありませんか?

販売実績による成功報酬の問題点

投資信託によっては、販売会社の販売実績により信託報酬の配分に差をつけている場合があります。トータルの信託報酬を変えることは出来ませんし、受託会社の取り分にも手を付けるわけにも行かないので、結局、運用会社の取り分を減らして販売会社の取り分を増やしています。

このモデルで有名な投資信託である「グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ)」の場合、信託報酬は「1.3167 %」ですが、販売会社の取り分は最大で「0.99750%*1」にもなります。一説にはこの信託報酬の仕組みによってグロソブが総資産 5 兆円を越える巨大投資信託になったのだと言われています。

  • 高い信託報酬
    この方式を採用している投資信託の場合、多くは 1.5% 程度の信託報酬で全体からしてみると高めです。この方式は、運用会社自身の儲けから削る必要があるので、信託報酬を高めにしておかないと、それだけ自分達の儲けにも響くからではないかと想像しています。
  • 運用に携わらない販売会社に対する取り分の不思議
    運用については運用会社・受託会社がメインです。販売会社は殆ど運用に携わることは無いにも関わらず、販売実績によっては最も取り分の多い会社になる場合があります。報酬という意味合いでは、本来なら販売手数料で稼いでいるにも関わらず、運用期間中にも販売会社に多くの信託報酬が支払われるのは納得がいきません。
  • 大手銀行での採用率が高い成功報酬制
    成功報酬制を採用している投資信託は全体からしてみれば少ないです。興味深いことに銀行が扱っている人気の投資信託は、成功報酬制を採用している場合が多いようです。偶然でしょうか?
    売れば売るほど儲かる。販売会社からしてみればそうでしょう。
    例えばグロソブより運用実績が高く信託報酬が控えめ*2な外債投信は結構ありますが、グロソブを扱っている銀行ではグロソブ以外の外債ファンドが置いていない場合が多いように見受けられます。何故でしょうか?
    信託報酬の値上がりには販売会社の意向が絡んでいるというのを聞いたことがあります。運用会社からすれば直下の顧客は販売会社なんでしょう。投資信託の本数が増えるにつれ販売会社に対する営業が激しくなった時期に信託報酬が上がったと言われています。そこに銀行を利用する投資家(お客さん)の資産を守ろうとした意図はあったのでしょうか?
    客(銀行を利用する投資家)は、運用実績ではなく販売員を信じて投資財を購入する、という随分いやらしい話を聞いたことがあります。仮に販売員が投資家ではなく自社のノルマを見ていた場合、投資家に対して適切な投資信託を勧められるのか疑問が残ります。
    成功報酬制は誰のためにあるのか、考えるとロクな結果が出ません。

*1 8000億を越えるの純資産額に対して
*2 逆に信託報酬が控えめだから運用実績が高いとも言えるかもしれない

Last-modified: 2010.05.04 (火) 21:40:36 (5106d)