著作者人格権 (moral rights)

この page は著作権の一つである「著作者人格権」について纏めています。

著作者人格権の特徴としては以下の通り。

  • 著作(財産)権と著作者人格権
    著作権には、財産としての権利である「著作(財産)権」と人格*1としての権利である「著作者人格権」の2通りの権利があります。
  • 一身専属 (一身専属権、一身専属性)
    著作者人格権は、著作者のみが持つことの出来る権利で、他者への譲渡・相続・放棄が出来ません。ただし「著作者人格権を行使しない」契約を結ぶことにより、実質、著作者人格権を行使することが出来ないとされています。もしくは自らの意思で行使しないことを宣言することも可能です。
    著作(財産)権と異なり、著作者の死亡より権利は消滅します。

著作者人格権の権利構成は以下の通り。

  • 公表権 (第十八条)
    公表されていない著作権物に対して、公表するかしないかを決定する権利のことです。
    web 上で既に公開した著作物に対しては、この権利を行使することは出来ません。
  • 氏名表示権 (第十九条)
    著作物を公表する場合に、著作者の氏名を表示するかしないか、もしくは仮名を使用するかどうかを決める権利のことです。
  • 同一性保持権 (第二十条)
    著作物に対して著作者の意図に反した変更、切除その他の改変を行ってはならない権利のことです。

特に同一性保持権に関して以下の問題点が指摘されています。

  • RSS 等のサービス提供
    ブログサービスでは、RSS によるコンテンツ配送に人気があるようですが、このサービスの場合、著作物の要約等を作成する必要性がある都合上、著作物の改変が必要となります。特に無償ブログサービスに多いのですが、これらのサービスを行うために予め「著作者人格権の不行使」を利用規約に記載しているところが多いようです。
    人格に関わる権利の不行使には利用者の反発も大きいようです。予め著作物の使用方法について明記さえすれば、著作者の名誉を傷つけることなくサービスを提供できる気がするのですが、どうなんでしょうか。
  • Wiki やクリエイティブ・コモンズの対応
    Wiki は多くの参加者が共同作業にてコンテンツの更新を行います。第三者のコンテンツの書き換えが頻発に生じるため、同一性保持権の扱いについて難しくなっています。

関連情報

  • Wikiと著作権 (羊堂本舗 ちょき, from archive.org)
    Wiki は、他の人の著作物を随時書き換えることでより良いものにしようというプロセスを踏むため「同一性保持権」の扱いが重要のようです。2ちゃんねると同じく、投稿時に「著作者人格権の不行使」を盛り込むことが一般的な解になるのでしょうか。
  • FAQ (Creative Commons Japan - クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)
    クリエイティブ・コモンズでは、著作者人格権の不行使を選択せず著作者の名誉を傷つけることなく改変することを認めるライセンスになっているようです。
  • パブリックコメントのコメント1 (クリエイティブ・コモンズ・ジャパン, from archive.org)
    「マッドアマノ裁判」が例に挙がっていました。なるほど。
    上記のコメントの返答として「日本法に対応するためには、名誉又は声望を害する改変は除外せざるを無いと考えます。名誉又は声望を害する方法による創作活動は著作者人格権の侵害とみなされるというのが日本法の考え方だからです(著作権法113条5項)」という見解が示されています。
    この辺は今の所「阿吽の呼吸」が必要そうですね。

用語

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DOA2 (DEAD OR ALIVE、デッドオアアライブ) 裁判は、DOA2 にいるキャラのコスチュームを改変し、裸にするパッチを販売したとして開発元の TAITO が販売元のウエストサイドを訴える裁判がありました。結局、この裁判ではデータ改変は著作者人格権 (同一性保持権) の侵害であることが認められています。リバースエンジニアリングの成れの果て、ですな。

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*1 名誉やプライバシー等

Last-modified: 2007.03.11 (日) 14:00:37 (6255d)