銀行よりチョイマシな運用型は、銀行に預けるより若干マシで、元本こそ保証されていないがそこそこ元本を割ることの無いことを目指す運用方法です。
MRF、外貨 MMF 共に銀行では扱っておらず、証券会社で扱われている金融商品です。口座維持費は掛からない所が多いですし、ネット経由で買い付けが出来る所を選ぶと、窓口に出向く必要が無く便利です(資産運用の相談は出来ませんが)。
普通預金 → MRF による運用 †
MRF は、証券会社が買い付けのための代金保管用として運用されている公社債投資信託です。
証券会社に資金を置いておくだけで普通預金の利息より若干マシな分配金が毎月受け取れます。'06/09 現在、普通預金の場合、利息は大体 0.1〜0.2% 程度で半年〜一年複利ですが、MRF の場合、分配金は大体 0.25% 程度で1ヶ月複利です。普通預金(場合によっては定期預金)よりも若干ですが MRF の方が運用面で有利です。
銀行と比べると、銀行の ATM が使用できない不便さがありますが、最近ではセブン銀行(セブンイレブンに置いてある ATM)を通じて直接入出金が出来る証券会社が増えています。例えば野村證券の場合、口座開設の時点で作成される野村カードでセブン銀行を通じで入出金が出来ます。イー・トレード証券やマネックス証券の場合、専用のクレジットカードを発行することで ATM を通じた直接入出金が可能になります。
外貨預金 → 外貨 MMF による運用 †
外貨 MMF は、証券会社が扱っている外貨建ての公社債投資信託です。
外貨預金と比べると非常に有利な投資方法です。外貨預金や外貨 MMF は、為替リスクが高いのでそれ自体、お勧めしませんが少なくとも外貨預金よりは遥かに優れている金融商品です。
- 分配金と金利の比較
外貨 MMF の利回りは、外貨預金の金利より高く設定されていることが殆どです。
例えば '06/09 現在*1、野村證券で扱っている野村外貨 MMF の US MMF の利回りは年 4.6% 程度ですが、三菱 UFJ 銀行で扱っている外貨預金の場合、米ドル普通外貨預金で 0.5%、1ヶ月定期で 3.66%、1年定期でも 3.74% 程度です。しかも外貨 MMF の場合は1ヶ月複利です。
外貨 MMF の信託報酬は年 0.7% 程度ですが、例えるなら外貨預金の場合、年 1.6% 程度の信託報酬が必要であると言えます。
- 手数料の比較
外貨 MMF の換金手数料は、外貨預金よりも安く設定されていることが殆どです。
円→外貨、外貨→円に換金する場合、手数料が必要になります。例えば '06/09 現在、野村證券で扱っている野村外貨 MMF の US MMF の手数料は、1ドルに対し 50 銭掛かりますが、三菱 UFJ 銀行で扱っている外貨預金の場合、1ドルに対し 100 銭掛かります。
- 換金性の比較
外貨 MMF の換金性は、外貨普通預金と同じ程度で高いです。
外貨定期預金の場合、運用中の換金は許されていない場合が殆どで換金性は低いです。銀行によっては外貨定期預金しか用意していない場合があり、満期に達すると強制的に円転してしまう場合もあります。この場合、非常に換金性が悪いと考えた方が良いでしょう。
換金性が悪いと大きな為替の変化が起こった場合に対応出来ず、運用で致命傷を負ってしまう可能性があります。
- 税金の比較
'06/09 現在、外貨 MMF の分配金は、外貨預金の利息と同じく 20% の源泉分離課税が掛かります。更に外貨預金の場合、為替差益に対して税金が掛かります(雑所得扱い)。課税対象の場合、税務署に申告する必要があります。外貨 MMF の場合、為替差益に対する課税はありません。
ただし、ソニー銀行の外貨 MMF は、一度外貨普通預金を介して購入する必要があることから、外貨 MMF であっても為替差益に対して税金が掛かるとされています。詳細は税務署に問い合わせてください*2。
- 短期金融と定期預金
外貨 MMF は、短期の公社債に対してのみ運用を行うことより、短期金利政策に影響されやすいです。金利政策が利上げに向かっている場合は短期間で利回りも上がりますが、利下げに向かっている場合は短期間で利回りも下がります。
外貨定期預金の運用中の金利は一定ですので、利下げ局面による長期の外貨定期預金は、外貨 MMF より有利になる可能性があります。しかし、多くの場合、利下げ局面では外貨定期預金の長期の金利は通常より低めに抑えられています。
ただし、ソニー銀行や住友信託銀行等の一部の銀行では金利や手数料が有利な場合もあります。それでも外貨 MMF には為替差益に対する課税が掛からない分、外貨預金よりも有利では無いでしょうか。