1. 投資信託を始める前に 第2版 (投資信託/ポイント)

投資信託を購入する前に気を付けるべき事項について纏めています。

販売会社(対面銀行や郵便局や対面証券)に騙されるな

銀行などの勧誘で投資信託を始めた方も多いと思います。私もそうです。始めた事に後悔はありません。しかし、運用するにあたってあまりにも知識が少なかったことについては惜しい思いをしています。もう少し知識があれば、もっと有利に運用できたはずだ、と。

販売会社で気をつけるべき点を挙げてみます。

  • 投資信託は販売会社に有利な金融商品
    投資信託は、アナタが儲かろうと損しようと必ず販売会社が一定の儲けが保障される仕組みになっています。売れれば売れるほど儲かります。アナタがポテトが欲しいと言えばポテトを与え、ハンバーガーが欲しいと言えばハンバーガーを与えます。誰が見ても健康を害する恐れがあったとしてもそれはアナタが全て責任を負うからこそ許される自由なんです*1
    投資信託も同じようにアナタの目の前に置かれます。ホントにアナタにとって有利なサービス品はメニューの隅っこに置かれているでしょう。
    対面銀行や対面証券の場合、アナタに有利な金融商品は一切置いていない場合もあります。販売会社はアナタが金融商品の目利きができないことを分かっているからです。既に販売会社の窓口にいる段階で負けが決定しています。
  • 定期預金の代わりにはなりませんってば
    今は利息が無いに等しいんで勿体無いという理由で、ちょっとした小遣い稼ぎの気分で投資信託を購入する方が多いようです。しかし投資信託は定期預金の代わりにはなりません。元本の保障はありませんし、運用の損失は投資家自身が負う事になります。
    定期預金なら1〜5年程度で成果が出ますが、投資信託は不定です。資産本来の価値を最大限生かすのなら5〜10年程度の長期運用が必要です。数年程度での運用の場合、負ったリスクの割にはリターンが得られていない場合が多いのではないでしょうか。
  • 「ボッタクリ金融商品」の宝庫
    高い確率で「ボッタクリ金融商品」を掴めるのも特徴です。ネット証券ではまず売れないような複雑な仕組みでコストやリスクを多く負わせる仕込債や仕込預金が豊富に揃っています。見た目、リスクを軽減しているように見えますが、殆どの場合、得られる利益が制限され、負うリスクが計算できない場合が多いです。
    資産運用に伴うリスクを負うのを嫌うあまり、本来得られるリターンを制限した金融商品の中で、アナタに有利なものはないでしょう。

投資信託は販売会社によって扱いが大きく異なります。

例えばネット証券で扱っている投資信託は、客寄せとして活用している場合が多くアナタに有利なものが揃っていることが多いです。ネット証券側からすれば、とにかく口座を開いてもらう事が最優先課題で、投資信託から得られる販売手数料を諦めても得られる利益は多いと踏んでいるからでしょう。また窓口のオネーさんの勧めではなく自分の意思で購入しなければならないので、比較的、購入者側の目利きがイイことが背景にあるのかもしれません。

良い書籍を読もう

最近では、投資信託で資産運用を行う書籍が増えています。良い書籍に出会えれば、きっとアナタの一生モノの知識になるはずです。販売会社にボッタくられる 前に予備知識を入れておくに越した事はありません。

良書は少ないです。

多くの書籍は、販売会社や運用会社のポジショントークだったり、人気の投資信託を単に「今人気の投資信託はコレ!」のような 言わば情報の垂流しで資産運用に必要な根本を説明していません。また投資信託の欠点をひけらかすだけで終わってしまい、運用に関して 何らヒントを与えてくれない書籍もあります。モチベーションを下げるだけ下げて結局、個人向け国債しか買うものが無いという内容では 納得できないでしょう。

後、マネー雑誌の投資信託特集は真に受けない方が良いでしょう。その時々の人気のある投資信託を紹介しているに過ぎません。 急速に山を駆け上がっている最中で、いずれ体力不足により山から転げ落ちます。転がっている最中には、次の山の特集を始めています。 場合によってはその山は無かった事になっているかもしれません。転がる前に下山すれば良かったと反省するか、そもそも転がるタイミングなんて 分かるわけが無いので、皆が通っているなだらかな山道でハイキングを楽しむかは人によって異なります。 前者の成功者は雑誌でも良く取り上げられますが、成功者は思っているほど多くありません。殆どの人が転がり落ちています。

他人任せの資産運用を止めよう

投資信託は、資産運用に無関心でいられるほどリスクの低い金融商品ではありません。

銀行で販売しているからと言って、定期預金並みのリスクしか想定していないようですととてもイタイ思いをするでしょう。

  • 販売会社を絞り込まない
    たまに「○×銀行でお勧めな投資信託は?」のような質問を見かけます。販売会社を絞り込んで投資信託を検討する事は、選択肢を狭める事になります。 投資信託でアナタに有利なモノはホンの一部しかありません。特に対面銀行や対面証券で扱っている投資信託は、高い販売手数料、高い信託報酬を設定し、 窓口販売に伴うコストを補っている節があります。
    販売会社を絞り込むのではなく、アナタに必要な投資信託を絞り込み、その投資信託を一番安く扱っている販売会社に口座を設けるという姿勢が重要になります。
  • 購入の決断はアナタの判断で
    販売会社は、アナタに優位な投資信託を紹介しません。アナタに優位な投資信託とは、販売会社にとって運用コストが少ない投資信託で利ざやが少ないんです。 販売会社からすればアナタが儲かろうが損しようが関係ありません。 圧倒的に情報量の少ないアナタに、運用コストが高く、どうせなら積極的に売買を行ってくれるような投資信託を積極的に勧めてくるでしょう。
    販売員が勧めるから勧めるまま購入しているようだと、何時まで経ってもアナタに有利な投資信託を購入する事は無いでしょう。 アナタには「購入しない」という選択肢があることもお忘れなく。結構重要ですよ。

投資信託を目利きする難しさ

過去の結果から未来を予測する事は不可能です。

投資とは、予測できないリスクに対して妥当なリターン*2が得られることを前提に資金運用します。投資信託は、過剰なリターンはそれ以上にリスクを取っている可能性が高く、過剰な宣伝はそれ以上にコストを取っている可能性が高いです。

私は正直、個別株を選別するより運用成績の良い投資信託を見つける事の方が難しいのではないか、と思っています。

  • 予測不可能な運用益より確実なコスト損失を重視すべき
    投資信託を判断する基準としてコスト(販売手数料、信託報酬)があります。運用益を予測することは不可能です。しかし、コストによる損失は確実にアナタの 資産を蝕みます。特に信託報酬は運用中に差し引かれるコストなので、長期運用を心掛けるなら最も重要視すべきコストでしょう。
  • 人気の投資信託が運用の良い投資信託とは限らない
    人気のある投資信託の多くは販売力によってもたらされているように思えます。販売力とは、綺麗なパンフレット、他の選択肢を寄せ付けない独占力、 そして販売会社へのリベートにあります。販売力を高めるには高いコストが必要で、そのコストは多くの場合、アナタが支払っている運用コストで保たれています。 アナタにとって優位な投資信託ではなく、販売会社にとって優位な投資信託に販売力が注がれ、結果、人気のある投資信託となっている場合を多いようです。
    販売会社は、アナタに目利きが無い事を知っていますので「ボッタクリ金融商品」が人気になっている状況が今も続いています。知らなければ何時までも 骨までしゃぶられる、そう思って間違いないでしょう。
  • アクティブ型投資信託は運用方針通りに運用しているに過ぎません
    「ベンチマークを上回る運用を目指します」という運用方針は、目指すだけで実際に上回るかどうかは未知数です。 「小型株を中心にベンチマークを上回る運用を目指します」という運用方針は、小型株と言う分野が他のメジャーなベンチマーク以上の実績を 出せていれば高い運用益が期待できます。しかし、小型株全体が不調の場合、メジャーなベンチマークを上回ることは難しいでしょう。 結局、アナタが「小型株がそろそろ来るでぇ」と判断して購入するしかありません。
    アクティブ型投資信託は、アナタ自身がアクティブに資産運用する必要があります。

長期運用を目指す場合、ファンドマネージャの手腕よりは「運用している銘柄数の多さ」、「コストの安さ」が運用益に大きく響く場合が多いようです。インデックス運用(パッシブ運用)の投資信託は、仕組み上、アクティブ型投資信託より運用銘柄数が多く、コストも安く設定されている場合が多いです。公的年金や保険の資産運用でもインデックス運用が活躍しています。

販売会社はあまり宣伝したがらないはずですが、インデックス運用も選択肢に入れておくと投資の幅が広がり有利に資産運用出来るかもしれません。

投資することの意味とは

銀行に社会の成長を委ねすぎたのではないか?

バブルを煽りやがて崩壊させた主犯は銀行でしょう。彼らがしっかり仕事をしていれば「失われた10年」は無かったかもしれません。

しかし銀行だけが犯人だったのでしょうか。

銀行に社会の成長と言う資産運用のリスクを負わせ過ぎていたとは考えられないでしょうか。そして今後も銀行だけに資産運用のリスクを負わせるべきなんでしょうか。私には今の銀行と言う組織が、社会に活力を与えるほど魅力的な投資が行える組織には見えません。

銀行に任せっきりの間接金融だけの資産運用から、債券や株式等の直接金融を活用した資産運用にも目を向ける時期に差し掛かっているのではないかと思っています。

銀行だけに私たちの社会の成長を託す必要はありません。
銀行だけに未来への投資のリスクを押し付ける必要はないんです。

投資とは、リスクを負う事で妥当なリターンを求めること

投資と言う面では、銀行に預金することも銀行に対する投資。元本は保証されている投資なのでローリスク・ローリターン。

投資で活用されるの金融資産の多くは、先の見えない未来に対して資金を提供することでリターンを得る仕組みになっています。リスクとは提供した資金が回収出来る保障が無いこと。運用期間が長ければ長いほど回収できる保障が無くなる確率が高くなります。なので増したリスクの分を増量してリターンを求める、というか求めないといけない。

投資家が常に妥当なリターンを追求するからこそ、投資と言うシステムが成り立つことは意識した方が良いでしょう。


'07/05 にリニューアルしました。よもや前の書いている内容とは似つかなくなっています。


*1 実際、健康を害して訴えたとしても勝てる見込みがあるのは米国だけでしょう
*2 リスクプレミアム

Last-modified: 2010.05.04 (火) 20:33:01 (2700d)