投資信託の質問箱 †
たまに見かける投資信託に関する質問を勝手に答えてみました。
投資信託は、万人向けの投資では無いと思っています。元本が保証されているわけではありません。投資信託は、資産を運用する会社(運用会社)や投資信託を販売する銀行・対面証券(販売会社)に多くの手数料を支払う必要があります。結局、投資信託は自分に向いてなかった、と言うのも一つの結論でしょう。
私は、投資信託は長期の資産運用の手段として悪くは無い選択肢だと思っています。公的年金や保険業者も同じような運用方法で預かっている資金を増やしているからです。博打な面も多々にしてありますが、少なくとも確率の悪い博打では無いでしょう。
Q. 投資信託に興味があるんだけど、始めにやるべきことは? †
A. まずはイイ本を読みましょう。マネー雑誌の鵜呑みはご法度ですよ。
投資関連の書籍は、かなり氾濫していますが有用なものは少ないです。特にマネー雑誌の投資信託特集は、販売会社・運用会社の宣伝のために仕組まれていて、投資家の利益を蔑ろにした企画が多いです。
若干の出費をしても投資の基礎を学べる書籍を読んでみることをお勧めします。
- 基礎知識編
運用に対する基礎知識がメイン。殆どの金融商品が投資家にとって不利な事が理解できると思います。投資信託に対するモチベーションが下がる可能性が高いのですが、その位、投資家にとって有利な投資信託は少ないのです。
- お金をふやす本当の常識
テレビのコメンテーターとしても有名な山崎 元さんの著書。怪しげな投資に対して警告しています。当時は投資に対してミョーな幻想を抱いていたのですが、この書籍のお蔭で相当慎重になりました。投資に悩み始めた頃に読んだ思い出深い書籍です。文庫本サイズなので価格も抑え目。
- 貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント
資産運用とはなんぞや、という基礎の部分の説明がメインです。資産配分の重要性、機を見て売買することの危険性、資産が増える理屈等、長期の資産運用には欠かせない基礎情報が詰まっています。
- 実践編
- 内藤忍の資産設計塾
幅広い金融商品より、様々な運用方法を提案しています。ただし内藤さんは、マネックス証券の中の人なのでマネックス宣伝本にもなっていることに気をつけてください。マネックス証券は他と比べれば比較的良い金融商品もあるのですが、他社の方が良い金融商品を扱っている場合も多々あります。鵜呑みにしない程度に参考にしましょう。
- みんなの投資
インデックス運用を中心とした実践本。良く纏まっていると思います。
関連ページ:
Q. 最近、銀行のオネーさんに投資信託を勧められているんだけど、、、俺、モテる? †
A. ううん。アナタのおカネがオネーさんに狙われているよ 。
オネーさんの目的はアナタじゃなくてアナタの資産運用から得られる費用です。
定期預金は、銀行にとって利益の少ない金融商品なんだ。それでは銀行が儲からない。銀行は営利団体である以上、効率よく儲けなければならない宿命にある*1。投資信託は、販売する側にとっては得られる費用が安定的で高額。しかも運用に関わるリスクは全てアナタ持ちで、販売する側には全くと言ってイイほどリスクが無いんだ。
だからオネーさんはアナタに投資信託を勧めているんだ。
マックのオネーさんがよく「ご一緒にポテトも如何ですか?」って勧めてくるだろ?マックのオネーさんは「アナタにはポテトが必要だ」と善意で勧めているわけではなく、フライドポテトは他の商品より利益が高いからなんだ。ポテトは売れば売るほど店に儲けが入りやすい。だからアナタに駄目元でもポテトを推奨しているんだ。間違っても 100 円バーガーなんて、勧めてこないはずだ。だって売っても儲けの少ない客寄せ用のサービスメニューなんだもの。
「そんなことは無い*2。」と思うかもしれない。でもネ。銀行や対面証券の窓口で以下の金融商品を勧められたら是非、身構えて欲しい。アナタにボッタクリ金融商品を掴ませようとしているサインだから。
- 「今ならキャンペーン中で定期預金の利率がお得ですぅ」
いや、確かに年がら年中行っているキャンペーンで定期預金の利息がお得なんだ。嘘はついていない。元本の保証された定期預金にしか興味の無いアナタにそういう金融商品を勧めてくるだろう。
だけど定期預金で得られる利息と、投資信託で失う販売手数料を比較した方がイイ。販売手数料の方が高いはずだ。販売手数料が安く済んだと考えるのはあまりにもポジティブ過ぎです。同じ投資信託でも販売会社によって販売手数料に差があり、銀行はネット証券やネット銀行と比べて高く設定されていることが多い。銀行は「商品の説明に対する人件費」という名目で徴収しているが、果たして手数料に似合うサービスを提供していただいたのか疑問だ。
定期預金との抱き合わせ商品に手を出さなくてもネット証券やネット銀行を利用すると、大抵、安価に販売手数料が設定されている。場合によっては無料(ノーロード)で販売している場合すらある。投資信託の販売手数料をノーロードにすることで客寄せをしているんだ。でも定期預金との抱き合わせ商品よりは有用で、継続的に積み立てすることも出来る。長い目で見ればどっちがお得か、分かるでしょ?
- 「毎月分配型が人気ですぅ」
いや、確かに人気なんだ。嘘はついていない。銀行も売れる投資信託を前面に出してアナタに販売してくるはずだ。
だけど長期の資産運用を目的としているのなら分配金を多く出す投資信託は避けるべきだ。株や債券の資産が本来持っている複利効果を損なうからだ。投資信託の仕組み上、短期での運用はリスクの割にはリターンが乏しい。長期運用を前提にするならコストが安く分配金の少ない投資信託を選ぶべき。銀行にはそのような投資信託は、皆無だ。
人気の理由は大体予想がつく。定期預金の延長でしか投資信託を考えていないのではないか。だから利息のような分配金を出す投資信託に人気が集まる。また時に見せる大きな価額変動の「痛み」から目を逸らせるために分配金を利用しているようにも見える。分配金が出ていることで、価額変動が一時的なものだと信じたいのだ。実際は自分が持っている資産を削っているだけなのに、その仕組みすら理解しようとしない。日々、蛸が自分の足を食べることで自分が飢えていないのを確認しているようなものだ。そんなことでは何時までたっても蛸は成長しないのは理解できるだろうか。
投資はネ。資産が時折見せる価額変動の「痛み」に黙って耐えなければならないんですよ。それが我慢できないようなら投資はしない方がいい。我慢できる覚悟が完了してから投資を始めても遅くは無いですよ。
- 「年 15% の運用利回りが期待できるかもですぅ」
いや、確かに過去の実績を見ると高い運用利回りな投資信託が銀行には多いんだ。嘘はついていない。銀行も長期運用を考えていないアナタにそういう投資信託を勧めてくるはずだ。
だけど多くの資金をつぎ込むのは考えた方がイイ。2〜3年で高い運用実績を出す投資信託は結構あるんだ。でも多くは長続きしない。資産ってのは買えば買うほど価額が上がる。本来、資産価値以上に価額が上がることなんて結構あるんだ。でも、いずれは本来持ちうる資産価値の価額に戻る。その差額が大きいと「バブルがはじけた」という認識になる。
銀行にある投資信託はバブリーな投資信託が多い。博打好きなアナタが買ってくれることを期待しているんだが、それ以上に銀行に入ってくる販売手数料と信託報酬が他の投資信託より多いというのもあるんだ。バブルが膨らもうが破裂しようが得られる費用は安定的でノーリスクでリスクは全部アナタ持ち。
要はアナタに「ご一緒にポテトも如何ですか?」って勧めているに過ぎないんだ。ポテトが好きなら買うとイイ。だがあくまでもサブメニューとしてだ。銀行が売っているポテトはカラダに悪く値段が高いと言うことは理解しておく必要がある。銀行はアナタにポテトの目利きが無いことを知っていてその金融商品を勧めているのかも、しれないよ?
- 「手数料後払いで複利効果バッチリですぅ」
いや、確かに手数料分が運用に回せるのでその分、複利効果が高いんだ。嘘はついていない。銀行も手数料を払うことを嫌うアナタにそういう投資信託を勧めてくるはずだ。
だけど多くの資金をつぎ込むのは考えた方がイイ。このような金融商品(クラスB受益証券)は、総じて信託報酬が高く設定されています。長期に運用すればするほどアナタから多くの手数料を掠め取ることが出来るし、その後の運用実績が悪くなり早期に解約すれば更に多額の手数料を支払う仕組みになっているんだ。どっちに転んでも銀行に有利。むしろ運用実績が悪くなった方が銀行に有利になる場合すらある。
まずホントのコストを知るべきだ。クラスA受益証券とクラスB受益証券を比較すれば、信託報酬に差があることに気が付くはずだ。信託報酬というコストは、長期運用を目指す投資家の資産を知らない間に食い荒らす。食い荒らされているのに気が付いても抜けにくくしているのが「クラスB受益証券」の問題点と言える。
- 「資産を分散させることで安定運用ですぅ」
いや、確かに資産配分による運用は公的年金でも行われている由緒正しい安定運用なんだ。嘘はついていない。銀行もリスクを嫌うアナタにそういう投資信託を勧めてくるはずだ。
だけど多くの資金をつぎ込むのは考えた方がイイ。銀行で扱っているバランス型投資信託の多くは、運用コスト(信託報酬)が高いんだ。折角、アナタがリスクを承知して得た利益の多くを掠め取る。しかも銀行はノーリスク。しかもこの運用コストを隠すためか、リスクを高く設定しリターンを多めに出す投資信託が多い。3〜4% 程度の安定した運用益を目指す場合、為替リスクとの兼ね合いもあって日本債券を多く含む場合が一般的。
でも、銀行が扱っているのは 5〜7% 程度の運用益を目指しているのか外国株・外国債券を多く含むバランス型投資信託が多い。為替変動にやけに弱い。バランス型投資信託の利点は安定した運用益を続けることによる複利効果だ。株や債券が持っている価格変動リスクは複利効果と関係しているので甘んじて受けるべきだ。しかし為替の変動に複利効果は一切無い。バランス型投資信託で必要以上に為替リスクを負うのは、私はお勧めしない。
銀行は嘘はついていない。だが必ずしも誠実とは言えない。
銀行はアナタに有用な金融商品を勧められないだろう。銀行にある金融商品の殆どがボッタクリ商品だからだ。つまり始めからアナタに選択肢なんて、無かったんですよ。
しかもアナタがその金融商品の目利きが出来ないことを銀行はよく知っている。目利きが出来ないからボッタクリ商品はいつまでも売れ続けるんですよ*3。
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Q. 投資信託へ手を染めるには? †
A. アナタなりの納得の行く方法で検討してみましょう。良い書籍を頼るがリーズナブルかと。
アナタに向いている方法で投資信託に手を染めるのが一番ではないかと。
ということで投資信託に手を染めるためのアドバイスを記載してみました。アナタにあった方法があれば良いのですが。
- 気合を入れて本を読む (お勧め度:★★★)
状況が把握できないと一歩も進めないアナタ、資産運用に関する書籍から手を染めてみては如何でしょうか。
資産運用系の書籍は多数、出版されています。しかし、アナタの気を引くためかアナタが買ってくれそうな博打系の資産運用本が多いのも事実です。「〜でxxx万円儲けた!」のような書籍は、著者のセンスが良かった可能性が高く、万人が真似をすると大やけどする可能性が高いです。またマネー雑誌等での特集も読者の射幸心を煽る内容が多く、販売会社や運用会社とグルになって記載されているものが多いです。
良書はかなり少ないと思った方が良いでしょう。
- 投資信託/関連書籍
投資信託に限らず資産運用全般に関わる書籍も紹介しています。Amazon.co.jp 経由で購入すれば、僅かながら私に紹介料が入って私が嬉しいです。是非(ぉぃ。
- なんとなくネット証券・ネット銀行に口座を作る (お勧め度:★★★)
始めるまでに何かと時間の掛かるアナタ、ネット証券・ネット銀行に口座を作っておいて外堀を埋めましょう。
投資信託を調べていくと分かると思うのですが、銀行や対面証券で扱っている投資信託はコスト(販売手数料・信託報酬)が高いものばかりです。アナタが有利な投資信託は、販売側にとっては儲からないからです。ネット証券やネット銀行の中には、客寄せのためかアナタに有利な投資信託がこっそり販売されていることがあります。今必要が無いと思っても、いずれ私の言っていることが理解する日が来る、かもしれません。ネット証券やネット銀行では、頻繁に口座開設のキャンペーンを行っています。有利なタイミングで口座を作っておいてしばらく放置しておくというのも悪くないのではないでしょうか。殆どの場合、口座開設や口座運用に費用は必要ないはずです。
口座が1社だけで済めば良いのですが、アナタに有利な投資信託はホンの一部なので、全ての投資信託を揃えようとすると、複数、ネット証券・ネット銀行の口座を作ることになろうかと思います。
- 投資信託/販売会社
取り合えず投資信託を始めるなら種類が豊富でノーロードの多い「カブドットコム証券」、「マネックス証券」が候補になるでしょう。
- 取り敢えず買ってみる (お勧め度:★★)
実践派のアナタ、とっとと投資信託を買ってみてから反省しましょう。ただし全力投球は厳禁。
私がコレです 。しかも銀行から買いました。イタイ目を見てから本格的に勉強をし始めました。なので、取り合えず買ってみる、という始め方も悪くは無いのではないかと、自己弁護してみます。
所詮は人。儲かれば嬉しいし、損をすれば何故損をしたのか悩みます。損をすれば人によっては諦めてしまったり、人(販売員)のせいにしたり、自分の運を呪ったりするでしょう。そういう性格の方はこの手法はお勧めしません。現場に立って始めて実感が沸くという実践派のアナタにお勧めしたい。
ただし、気をつけないとホントに損をします。アナタが損をすることで銀行や対面証券が得をすることに繋がるからです。なので始めは余剰資金のホンの一部を購入に回し、少しずつ積立てる、というのはどうでしょうか。いずれ損をしていることに気付く日が来るとは思うのですが、その日が来るまで積立てておくというのも悪くは無いでしょう。
- 相談する人を捕まえる (お勧め度:★)
活字は苦手で識字率もままならないアナタ、人に相談してみるのが手っ取り早いです。
近場に相談する人がいない場合、銀行を利用するというのもアリかと。山崎センセ曰く「赤頭巾ちゃんが狼に相談するようなもの」と一刀両断されそうですが、相談してみて始めて実感が沸く、ということもあろうかと思います。分からないなら分からないと言えば、色々教えてくれます。変な見栄は張らないことが基本でしょう。
今までの経験だと銀行や対面証券での相談の場合、十中八九、ボッタクリ金融商品をアナタに勧めてきます。「相談に乗ってもらうだけならタダ!」という強い意志をもって、相談してみましょう。変額年金の話に入った辺りが引き時です。銀行はアナタから十分、ボッタクリました。「購入する気も無いのに相談するなんて悪いかしら?」なんて善意、捨ててしまいましょう =)。
Q. 長期投資とは? †
A. 「長期投資とは、リスクを減らすのではなく、大きなリターンを得るチャンスを増やすもの」
上記は、「フィデリティの考える、よくある投信バナシのウソ・ホント」 (新生銀行) にあったフィデリティ投信マネージャのお言葉です。長期運用とリスクへの取組み方が理解できると思います。
スタート地点を誤らないための手法の一つとして、時間をずらして継続的に投資する積立て投資(ドル・コスト平均法)というのも検討してみると良いかもしれません。
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Q. 長期運用ってどのくらいの期間を指すの? †
A. 10年程度を目処に考えておくと笑われずに済みます =)。
株や債券等の資産を運用する場合、時間が大きな武器になります。短期的に見ると、資産の価値の上下は激しいですが、長期的に見ると資産の価値は上向きになる可能性が高いです。
債券は、投資家に対して利率を付けて資金提供を受けることが前提になりますので、長期間、約束の利率を受け取る権利が生じます。
途中で債券を売却する場合、元本割れの可能性がありますが、満期まで持つことで元本と利金は保障されます。
株は、資産家に対して資金を増やすことを約束することで資金提供を受けることが前提になりますので、企業が成長する限り、投資家に利益をもたらす事になります。
投資家に利益をもたらさない企業に投資する必要はありません。
投資した資金が有効に活用されるのには時間が掛かります。気長に成果を待つ必要があるのが投資と言えるのではないでしょうか。
#ちなみに銀行のネーさんに運用期間を聞かれたときに「1〜2年程度の長期運用を目指します!」って言ったら笑いが取れました。知識も無しに銀行に特攻するもんじゃないね =)。
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Q. 基準価額が高いと割高ってホント? †
A. うそ。
日頃、目にする基準価額は 10000口を購入するための価額です。
投資信託が設立した当初の基準価額は「10000口=10,000円」で計算します。基準価額が上がると 10000口を購入するための資金が多く必要になります。逆に言うと、購入後に上がった基準価額分が投資家の利益になります。資産の価値が上がり続ければ、基準価額も上がり続けます。高い基準価額は、投資信託が順調に運用益をたたき出している証拠です。
例えば基準価額が 20000 円の投資信託なら 10000円で購入できる投資信託の口数は 5000口 になります。基準価額が 10000 円なら 10000口 購入できます。口数に差は付きますが、割高であることにはなりません。どちらも同じ騰落率なら 10000->12000円に上がった場合、20000->24000円に同じ割合だけ基準価額が上がるからです。
気にしなければならないのは基準価額ではなく、投資信託の騰落率を気にするべきです。
基準価額を下げる「分配金」
投資信託では口数辺りの価額を減らすための作業を行っています*4。
その仕組みが「分配金」です。
分配金を出すことで、投資信託全体の口数を減らすことなく投資信託全体の資産の価値を減らします。例えば基準価額が「10000口=12000円」の投資信託が 2000円の分配金を出した場合、分配金を出した後の基準価額は「10000口=10000円」になります。更に分配再投資を選択した場合、2000円分の口数が増えます。分配金前と分配金後とでは投資信託の価値は一切変わらないことに注意してください。
基準価額が高い状態が続いていると言うことは、分配金を殆ど出さない運用方針であることの表れです。長期運用を考えるならむしろ望ましい運用方針と言えるでしょう。
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Q. 分配金ってあった方がイイの?無い方がイイの? †
A. 無い方が有利です。
理由は以下の通り。
- 資金が必要な時に売却出来る
分配金を受け取ると言うことは、一定期間毎に投資信託を売却しているのと同じです。
資金が必要な時に必要なだけ投資信託を売却した方が、不必要に資産を売却することなく効率的に資産運用ができます。
- 複利効果の減少
分配金は、運用中の投資資産の一部を削って分配されます。分配金を受け取ることによって運用中の資産を減らすことになりますので、運用する資産が減ることを意味します。
分配金を受け取ることで運用中の資産が、更に資産を産む仕組みである「複利効果」が得にくくなります。逆に資産が資産を減らす逆の「複利効果」を防止することも出来ます。
長期運用の投資は、多くの場合、プラスに働きます。
- 税金面での有利さ
分配金を受け取る場合、分配金に対して一律に税金が掛かります。
仮に分配再投資を選択した場合、分配金が出る度に税金が引かれた上で再度投資します。所謂税金の前払いです。税金を払った分、運用する資産が減ることになるので複利効果が得にくくなります。税金は最後の最後に払った方が運用効率は高いと言えます。
401k にしろ変額年金にしろ、税金の繰越しが利点の一つに挙がります。これは分配金を出さない投資信託の場合でも同じ効果が得られます*5。
税率が上がったとしても上がる前に一度、投資信託を売却し、再度、買い直しした方が運用効率が良いのではないでしょうか*6。
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Q. 分配金を受け取らないと複利効果は得られないんじゃ、、、 †
A. いいえ。株や債券が本来持っている複利効果を削っているに過ぎません。
株や債券等の資産は、本来、複利効果を持っています。
- 債券の複利効果
債券の利金は、一定期間に設定されたおカネを支払うことでおカネを借りる仕組みです。利金を出さないことで大きな複利効果が期待できます。ゼロクーポン債がコレに当たります。
- 株の複利効果
株の配当金は、会社が得た利益の一部を分配する仕組みです。配当金を出さずに会社の成長のための設備投資等に回すことで、更に運用益を得ることが期待できます。
成長が期待できる会社があまり配当金を出そうとしないのは、会社の利益を会社の成長のために投資することで更なる成長が期待でき、結果的には投資家への還元となるからです。
成長もせず、利益還元もしない会社は、株式会社として成り立っていません。
- 投資信託の複利効果
投資信託の分配金は、株や債権等の運用している資産から得られた利益の一部を分配する仕組みです。資産の成長のために分配金を保留、もしくは少額にして運用を続けることで更に運用益を得ることが期待できます。
分配金は、資産の一部を売却して支払われていることに注意してください。
分配金の再投資について:
分配金を受け取ると運用益に対する税金の先払いを行うことになります。分配金を全部再投資した場合でも税金が差し引かれた分、複利効果を失うことになります。確かに分配金の再投資は、口数が増えるので複利効果を得た実感を得られるかもしれません。しかし、実際は運用資産を削っているだけです。
全体から見ると、運用している資産を税金を支払うために換金し、税金分差し引かれて、資産に戻されているという作業が分配金の再投資で行われています。複利効果を得ているとは言えないでしょ?
投資信託のおカネの流れをざっくり表すと以下の通り。
- 投資信託を購入するということ
投資信託を購入すると言うことは、資金を投資信託が管理する資産(株や債券)に変換することを意味します。その投資信託が株を扱っているのなら、購入資金は株に変換されます。交換する単位は口数です。例えば基準価額が7000円だった場合、7000円で10000口の口数に変換出来ます。
変換された資産は「総資産」の一部として計上されます。
- 基準価額の求め方
基準価額は日々の資産価値に連動します。基準価額は、その日の資産を全て換金した場合の「総資産」から今まで発行してきた「口数」の商で求めます。
つまり「基準価額=総資産/口数」です。
ちなみに信託報酬は、基準価額を計算する際の総資産の中から日々「総資産*信託報酬*1/365」分だけ差し引かれています。資産の価値がまったく変わらない場合、信託報酬分だけ資産の価値が削られています。
- 分配金の求め方
分配金の額は、運用会社が自由に設定します。仮に資産の価値が失われている場合でも分配金を出す、出さないは運用会社が決めることになります。よって安定して分配金が支払われているからといって運用が上手く行っているとは限らないことに注意してください。
分配金は総資産を削って換金します。分配金が出る日は分配金の分だけ総資産が削られていることを意味します。
つまり「分配金の出た日の基準価額=(総資産−分配金に必要な資産)/口数」となります。
分配金の出た日の基準価額は分配金の分だけマイナスになっているはずです。
- 分配金を再投資するということ
分配金の再投資は、資産を資金に換金した挙句、資金を再度資産に変換することになります。分配金の再投資は、販売手数料が掛からないのが一般的ですのでここではコストが掛かりません。
しかし、運用益分の分配金には税金が掛かります。
つまり、資産を資金に換金し税金を支払った挙句、のこりの資金を再度資産に変換することになります。つまり運用益に対する税金の先払いです。税金を支払わず、運用し続けて最後の最後に税金を支払う方がより複利効果が得られるはずです。
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Q. 投資信託の「分配金」って、株の「配当金」のようなモノだろ? †
A. いいえ。分配金は確実に運用中の純資産を傷めます。
投資信託の分配金は、運用中の純資産を削って捻出します。分配金を出さずにそのまま内部留保することで、確実に複利効果を得る事が出来ます。ただし複利効果はプラスにもマイナスにも働きますので一概に損得の判断は出来ません。が、少なくとも株や債券等の資産の場合、資産自体に複利効果があること、投資家の利益を向上させる必要性があることより、マイナスよりはプラスに働く事が多いのではないでしょうか。資産の成長を希望するなら分配金は無い、もしくは少ない運用方針の投資信託をお勧めします。分配金の再投資は、分配金に対する税金が引かれる分、複利効果を失います(税金の前払い)。
株の配当金は会社の資本を傷めるます。会社の成長に期待するのなら配当金は少ない方が良いかもしれません。
成長企業の場合、無理に配当金を出すより内部留保し、会社経営に回した方が結果的に株主利益を向上させる事が多いようです。これも複利効果と言えるでしょう。斜陽企業の場合、内部留保を繰り返し、必要以上に現金を多く持ちすぎると株主から分配金を請求されるかもしれません。
配当金を出す出さないかの判断は、株主と経営者が今後の会社運営についてどう考えるかで決まります。
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Q. 販売会社はどこで買うとお得? †
A. ネット証券会社にお得なのが多い。銀行や対面証券はまず見所は無いね。
ネット証券(カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券等)は、人件費を削っている分、販売手数料などのコストを抑えてる場合が多い。これは投資信託に限らず、株売買でも同じなんだけどね。客寄せのためか販売手数料を無料(ノーロード)で販売しているものも結構多いのも特徴。その代わり、投資信託の選択について誰もアドバイスはしてくれない。すべて自分で選択することになる。
銀行や対面証券の場合、窓口のオネーさんが丁寧に説明してくれる。その代わり販売手数料はきっちり取るのでコストは高め。でも問題はそれだけでは無いんだ。
- 有用な投資信託が揃わない
どこの販売会社も数多く投資信託を扱っているんだけど、ホントに有用な投資信託ってホンの一握り。販売会社1社ではすべて揃える事は出来ないと思ってイイ。だけど窓口のオネーさんは、自社で扱っている投資信託のみアナタにアドバイスするんだ。「実は他社のxxxさんのファンドの方が安くてお得なんですよ〜」なんてアドバイス、してくれると思う?
- 販売会社に優位な品揃え
販売会社にとっての利益は、アナタにとっての不利益であることが多いんだ。理由は簡単。アナタから取る手数料が販売会社の儲け、だから。
銀行や対面証券の場合、かなりえげつないんだ。何故かって銀行や対面証券で相談する人って投資信託のことをよく理解していないから、ボッタクリ投資信託を握らせてもそれに気が付けない。そういうお客さん用にボッタクリ投資信託をたくさん用意しているんだ。窓口のオネーさんはそういう投資信託をアナタに勧めてくるはずだ。「毎月決算型は人気がありますよ〜」とか「今、REITが注目を集めているんですよ〜」とか。最終的に決めるのはお客さんだけど、お客さんに勧める投資信託は全てボッタクリというのが今の窓口販売だと思ってイイ。
でもこれってお客さんにも問題あるよね。車種の情報がまったく無い状態でディーラーに「私に向いている車くださいな」って言っているようなものだもの。軽自動車で十分事足りる用途であっても、ディーラーからして見れば自社製の車を買わせたい。その車にはGPSやホイールやサウンドシステムを付加させたい。だってそれが会社の儲けに繋がるから。相談するにも、ボッタくられないためには他社の同じような商品位の情報は必要。比較することでボッタくられているかどうか判断できるから。
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Q. BRICsとかVISTAって儲かるの? †
A. 予想以上に儲かるかもしれませんが、知らない間に損をするかもしれません。
BRICsやVISTA等の新興国に対する投資は、大きなリターンが期待できる半面、想定以上のリスクを背負うことになることに気をつけるべき。
- 情報が少ない
比較的安全に資産運用をしたいのなら、機関投資家が積極的に売買を行っている市場(日本や米国や欧州等の先進国)の方が、リスクが分かりやすい。先進国は、常に報道しているんで状況が把握しやすい状況にあるけど、新興国の場合、そう簡単に現地の状況は把握できない。
- 規模が小さい
新興国は売買している規模が小さいため、先進国から流入する資金に過剰反応することが多々あるんだ。 逆に、些細なきっかけ(米国の税金の納金近くとか)で、資金が流出し始めるととたんに資産の下落が始まる。上昇が極端なら下落も極端。把握できない状況だと皆、一斉に資金を回収し始め、それが暴落に繋がることになる。先進国でもそういう現象がたまに見られることがあるんだけど、新興国の比ではない。なんたって規模が違うから。
- コストが高い
新興国に限らず、流行の投資信託っていうのはコスト高であることが多いんだ。投資信託の場合、信託報酬がそれに当たる。儲かっているときはコストよりもリターンが大きいから気にならないけど、こう着状態になった場合、コストばかりが差し引かれる状況に陥るんだ。そうなると増える資産もコストに奪われ、利益が限定されてしまう。長期運用を考えるとあまり良い投資とは言えないんじゃないかな。
投資することに否定はしません。私も少額ですが新興国に対しての投資信託を持っています。でも多くの資金を新興国につぎ込むのは疑問が多いです。新興国に資金をつぎ込むのなら、投資信託に頼らずに直接、その国の株(or ETF)や債券に投資した方が運用コストを下げる事が出来ます。
対象の新興国の成長に合わせた資金流入なら理想的なんでしょうけど、いささか資金流入の量がその国の成長以上に入り込みすぎていて、処理しきれていないように見えます。必要以上のおカネは人を不幸にします。多分。
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Q. 利確は何時頃? †
A. お金が必要な頃に必要なだけ利確しましょう。
時期を見て資金流入するのが難しいのと同様、資産の引き上げのタイミングも難しいです。必要な時期、必要なだけ換金する方法が結果的によい方向に繋がるのではないでしょうか。時期をずらして少しずつ資金を引き上げる方法もあろうかと思います。
学資資金や愛車購入など、予め必要な金額を必要な時期にあわせて運用するのであれば、必要な金額に達成次第、安全なMMFや預金に切り替えることがとっても重要。幾ら調子がよくても運用中の運用リスクは無視できません。折角、資金が揃ったんじゃないですか。目的が達成したことに満足しましょう。
大きく欲張らないのも資産運用には重要なことかと。
Q. どのくらい儲かるの? †
A. リスクの取り方次第だけど 3〜7% は期待出来るんじゃないかな
高いリターンを求める場合、それに伴ったリスクを負うことになるんだ。で、株とか債券等の複数の資産をバランスよく資産配分することでリターンとリスクを調整し安定した運用を目指すのが「ポートフォリオ理論」って奴。
- 高いリターンが必要な場合、高いリスクを負うことになる
一般的に高いリターンを得るには、高いリスクが必要になります。株と債券の組み合わせによる運用の場合、期待できるリターンは年 3〜7% 程度が妥当だと考えます。リスクを負いすぎると投資信託の強みである複利効果を失いかねません。必要以上のリターンが必要な場合は、投資信託以外の資産運用を検討したほうが良いでしょう。
- 株と債券でリターンとリスクのバランスを調整する
株と債券の関係は相性が良い事が知られています。この2つの性格の異なった資産を組み合わせてリターンとリスクのバランスを調整します。この作業をアセット・アロケーション(資産配分)と言います。規模こそ違いますが年金や保険も考え方は同じです。
過度なリスクの取りすぎは、バランスの良い運用からかけ離れる事になり、運用に致命傷を与えかねない状況に陥る可能性があります。またリスクが理解できない投資は、期待できるリターンより、多くのリスクを負っている可能性が高いです。
関連ページ:
Q. 現在販売している投資信託数って幾つ? †
A. '07/06末時点での公募投信数は「2927」だそうです。
投資信託の全体像 (投資信託協会)にて随時、公開されています。
Q. 日本最古の投資信託って何? †
[教えて!goo] 日本最古の投資信託を見てたら私も興味があって調べて見ました。調べ方は至って簡単。モーニングスターの検索で運用年数を設定して徐々に年数を上げて行く方法を取りました。
この中で生きがイイのはやはり「MHAM 株式オープン(旧:DKA 株式オープン)」ですかね。
関連ページ:
'07/07 現在のご長寿ファンド
'06/07 現在のご長寿ファンド
既にかなり償還されてしまっています*9。
Q. 人気のある投資信託ってどれ? (純資産 1 兆円越えの投資信託) †
A. '07/07 現在、5 つの投資信託が純資産 1 兆円越えしています。
純資産は、投資家から集めた資金を指します。運用中に増えた場合もありますが、多くは投資家から集めた資金量と思って間違いないでしょう。
特徴としては「窓口販売が盛ん」、「コスト高」、「外貨中心」が挙げられます。販売会社が売りたい商品が売れているようです。運用実績やリスクはあまり考慮されていない印象があります。
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'07/07 現在の純資産1兆円越えの投資信託ランキング
- グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型):純資産 5.5兆円
言わずと知れたグロソブ。最近は、他のバランス型投資信託の人気からか若干伸び悩んでいます。それでも着々と営業成績を上げているのは立派ですな。
- ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配):純資産 2.6兆円
外国の電気・ガスなどの公益株に対して投資する投資信託です。株式にしては珍しく毎月分配を採用。最近ではM&A 等の影響で運用益が絶好調で人気が集まっています。数ヶ月の中では純資産を最も集めた投資信託の一つです。
- マイストーリー分配型(年6回)Bコース:純資産 2.0兆円
ファンドオブファンズ形式で運用されており、組み込まれている投資信託の多さが特徴のようです。ターゲットは年配者らしく奇数月に配当金を出します。偶数月に支払われる年金の補助としての利用を見込まれているようです。
資産を育てると言うよりかは安定した資産運用(のように見える運用)を目指しているようです。
- ダイワ・グローバル債券F(毎月分配型):純資産 1.8兆円
グロソブと同じ外債のアクティブ型投資信託。分配金はグロソブより多めに設定されていますが実際の運用益はあまり差が開いていない様子。というよりソブリン債をメインで扱う投資信託は、運用益で大きな差は付かないようです。
なので運用の上手さよりかは手数料や信託報酬や分配金の有無で運用益に差が付くことが多いように見受けます。
- 財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型:純資産 1.4兆円
最近人気のバランス型投資信託。REIT(25%) を組入れているのでファンドオブファンズの扱いになりますが、外債(50%)や日本株(25%)はファミリーファンド方式で運用しているようですので、思ったより信託報酬は掛かっていないようです(0.958%)。運用状況は良好のようです。
これで毎月分配でなければ興味深い投資信託なんですがね。残念です。
Q. 信託報酬っていつ持っていかれてんの?請求書とか貰った記憶無いんだけど? †
A. 日々の運用で差し引かれています。請求書とかありませんよ =)。
日々、投資信託の価額が表示されていますが、その中から費用として毎日差し引かれています。例えば信託報酬が1%の場合、運用資産全体から1%の1/365が引かれてその残りが明日の資産運用の資産として計算されます。
損しても得しても信託報酬は日々差し引かれます。
運用会社からすれば、運用資産が倍になれば信託報酬も倍になる計算になりますので少しは頑張ってくれるかもしれません。しかし多くの場合、資産を倍にするよりもファンド自体を償還して新たに作り直した方が利益が出やすい状況になりやすく、またそいう運用会社も多いのが現状です。
(10.05.04記載)