投資信託のコスト (投資信託/ポイント)

投資信託は、他の金融商品よりコストの高い金融商品です。

支払うコストを気に掛けることで大きく運用に影響を与えます。

投資信託の高いコストは「ぼったくり」と言われる元凶でもあります。

近年、金融緩和に伴い銀行や郵便局でも投資信託を扱うようになり、販売数も年々増加しています。また、確定拠出年金による運用にも投資信託が用いられるようになり、自己責任で老後のための資金作りを行う必要性が出てきています。

投資信託にとっては恵まれた状況にも関わらず、投資信託のコストは下がることが無く年々増えつづけています。原因の一因として、投資信託を求める投資家がコストに対しての意識が少ないからではないか、と言われています。また販売会社からしてみれば、利益の高い投資信託の方が利益に繋がるので、高いコストの新しい投資信託ばかりが店頭に並ぶという状況になっています。

投資信託に対して販売会社は「不誠実」であることが多いです。この不誠実さが「ぼったくり」と言われる所以なのでしょう。このような状況を打破するには投資家自身がもっとコストに対してシビアになる必要があるのではないでしょうか。

確実に資産を減らすのが投資信託 - 信託報酬

投資信託は、運用状況が良くても悪くても一定の金額が信託報酬として確実に差し引かれる仕組みになっています。

運用会社からすれば、投資家が投資信託を持ち続けている限り、運用実績に関わらず一定の儲けを得ることが出来ます。運用会社や販売会社は、投資家の資産運用の状況に大して興味が無いことを強く意識する必要があります。彼らがすることといったら、解約させないよう引き止めること、解約後にまた新たな投資信託を勧めること、運用が悪くなった投資信託を強制償還し、にわか投資家の好みそうな投資信託を新たに作成すること位です。

高い信託報酬で高い運用実績を誇る投資信託もあります。このような投資信託は、今後も高い運用実績が期待できると思われがちですが、高いリターンにはそれなりの高いリスクが付随することに気をつける必要があります。今まで運用実績が良かったのは、たまたま市場状況が良かっただけなのかもしれませんし、その運用実績が続く理由はどこにもありません。市場動向が良かった頃の運用実績を宣伝し、状況が悪くなり宣伝効果が薄くなったら強制償還という運用も見かけられます。

投資信託の利点の一つである複利効果は、長期に運用を続けることで活用できます。逆に長期運用は、資産を長期間確実に減らすことにも繋がりますので、コストには十分注意する必要があるでしょう。

販売会社次第で設定できる販売手数料 - 販売手数料

投資信託のコストで影響があるものには、購入時に支払う「販売手数料」と運用時に支払う「信託報酬」があります。この内、販売手数料は販売会社(銀行や郵便局や証券会社)が設定します。よって販売会社によっては、同じ投資信託でも販売手数料が異なることがあります。

販売手数料を出来るだけ少なくすることで、その分、資産を運用する資金が増えますので有利になります。3% 程度の手数料でも、その手数料を上回る運用を行うには、資産によっては半年〜1年以上掛かるケースもあります。

運用会社によっては、自分たちの扱っている投資信託の販売会社のリストを公開している所があります。更にサービスが良い運用会社の場合、販売手数料も公開しています。目的の投資信託を絞り込めたら、出来るだけ手数料の掛からない販売会社から購入しましょう。

ちなみに販売手数料が 0% で販売している投資信託のことを「ノーロード」と言います。検索するときに有利なのでこの単語を覚えておくと良いでしょう。

税金は隠れた最大のコスト - 税金

投資信託では、様々な場面で税金が支払われています。

販売手数料や信託報酬で支払われる消費税もそうですが、中でも最大なのが運用益(売却益・解約益)に対する課税で、現時点('06/09)では税制優遇*1されているので 10% ですが、2008 年から 20% に戻る*2ことになります。決して安くは無いでしょう。

  • 毎月分配と複利効果
    運用中に支払われる分配金の運用益に対しても税金が差し引かれています。
    投資信託で複利効果を得るには分配金を再度、運用に回す方が効率的です。殆どの販売会社では、分配金を受け取る「一般コース」の他に、分配金を再度運用に回す「再投資コース」というのが設けられています。「再投資コース」では販売手数料は掛からないのが一般的です。ただし「再投資コース」であっても税金はその都度、差し引かれます。
    毎月分配である投資信託は、毎月、税金を支払っていることになります。「再投資コース」を選んだとしても税金が複利効果を阻害することになることに注意しましょう。出来る限り税金の支払いを先延ばしし、運用が終わった時点で清算するのが理想的です。
    複利効果を狙うなら分配金の少ない投資信託を選択することをお勧めします。例えば、グロソブの場合「毎月分配」以外に「1年分配」というコースも用意されています。「1年分配」は「毎月分配」より分配金が少なく、1年に1回しか支払うタイミングが無いため、税金面で有利です。グロソブを扱っている販売会社で「毎月分配」しか用意していない販売会社は、投資家をカモとしてしか見ていない証拠でしょう。
  • 税金面で有利な金融商品を利用する
    確定拠出年金は、運用益に対しての税金が繰り越せるため一般的な投資信託より有利に複利効果を得ることが出来ます。用意されている投資信託の信託報酬もかなり抑え目に設定されているのも特徴で、活用できるのであれば是非活用したいところです。同じく変額年金も運用益に対しての税金が繰り越せるので魅力的なのですが、それ以上に運用コストが高いのがネックになっています。

税金を意識した運用を心掛ける事で運用益に差が付きます。税金に対してもシビアになる必要があります。特に長期運用による複利効果を狙うのであればなおさらです。


*1 平成17年度証券税制改正
*2 現在、延長する審議が行われている最中のようです

Last-modified: 2007.06.02 (土) 18:05:03 (6170d)